COLUMN

アメリカのトップアスリート御用達MBSCを訪問|Michael Boyle氏のジムレイアウト
BostonにあるMichael Boyle氏が主宰するトレーニング施設 MBSC(Michael Boyle Strength & Conditioning) にお邪魔しました。 本記事では、施設の特徴、器具配置、実際のトレーニングの様子、日本のジムに応用できるポイントを詳しく紹介します。 Bostonの名門ジムMBSC(Michael Boyle Strength & Conditioning)とは? MBSC は、Bostonにある業界で知らない人はいないと言われるほど有名なトレーニング施設です。アメリカの4大スポーツをはじめ、トップアスリートやジュニアアスリートが通い、Michael Boyle氏やKevin Carrnado氏など著名なトレーニングコーチの指導を受けています。 施設はアスリート向けだけでなく、トレーニング愛好家やジュニア世代も多く通っており、常に活気に満ち溢れています。 MBSCのトレーニングエリア SIGNATURE SERIESラックと器具の効率的な配置 PERFORM BETTERの SIGNATURE SERIESラック が8台横並びで連結され、圧巻の施設環境です。鏡の前から以下の順番で器具が配置されており、グループトレーニングにも対応した効率的なレイアウトになっています。 プラットフォーム スクワットラック、ダンベルセット ファンクショナルトレーナー、ベンチ台、パワーブロック、プライオボックス...

Michael Boyle氏寄稿|ラテラルスピードとアジリティの向上
日々新たなトレーニング理論が増えていく中で、インプットした内容を日常のクライアント指導にどう活かせばよいのか悩んでいるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。本コラムでは、最新のトレーニング理論やそれを現場に活用するために必要な器具をご紹介します。ぜひ、日常の指導にお役立ていただけますと幸いです。今回は Mike Boyle Strength & Conditioning(MBSC)の創設Michael BoyleがPERFORM BETTER本社のブランドサイトに寄稿した「Improving Lateral Speed And Agility(ラテラルスピードとアジリティの向上)」をご紹介します。既に多くの施設に導入いただいているラダー、アジリティリング、ミニハードルの使い分けも紹介しておりますのでぜひ最後までご一読ください。 ラテラルのスピードとアジリティのウォームアップ ラテラルのスピードとアジリティのウォームアップは、ラテラルの動きの向上を目的としたトレーニングに備えるために身体を準備するために活用されます。このウォームアップは、最初に8分間のアジリティラダー(ラダートレーニング)を行い、その後5分間のラテラルのダイナミックストレッチを行います。重要なのは、アブダクター(外転筋群)とアダクター(内転筋群)に線形のウォームアップでは実現できないレベルで負荷を加えることです。ウォームアップは、もちろん競技や活動の要求に特化して行うべきです。陸上競技などの「直線的な」影響によって、ウォームアップが一方向、または単一平面に偏ることが多い現状があります。ラテラルのウォームアップは、選手をラテラルの動作やスピードを上げたトレーニングに備えさせます。 ラテラルアジリティの向上 「スピードは教えられない」という昔からの格言は、長年にわたり誤りだと証明されています。しかし、依然として多くのコーチがアジリティやコーディネーションは教えられないと信じています。実際には、ラテラルの動きの本質である方向転換は教えることができ、これは3つのシンプルな要素に分けられます。 1.シングルレッグのストレングスは充分か? シングルレッグのストレングスは、単純に動きを止めるだけでなく、その後に再度動き出すために必要であり、アジリティを高めるためにも重要な要素です。シングルレッグのストレングスが充分になければ、どんなにアジリティを高めても選手がトップスピードでカットを行うことはできません。 2.減速動作ができるか? Eccentric strength(伸張性収縮)が鍵です。Eccentricは、重量を下ろす力ではなく、体を急速に止める力と考えてください。Eccentric strengthは「ブレーキをかける力」です。 3.安定した着地ができるか? proprioceptive system(固有受容覚)は、安定した着地を作るための準備ができていますか? アスリートはアジリティの基本概念を理解する必要がある 左に動くためには、選手は右脚で押し出さなければなりません。 進む方向に脚を踏み出すだけでは素早い移動はできないので、進みたい方向とは逆の脚で地面を押し出さなければなりません。 しかし、方向転換に必要な押し出す力を発揮する前に、減速し、安定して着地する必要があります。コーチが「アジリティトレーニング」として実施する多くのトレーニングは、単に動きのタイミングを合わせることに過ぎません。私たちの哲学は、動作を教えることであって、タイミングだけを教えることではありません。アスリートにコーンを周りながらタイムを縮めさせることはしません。アスリートには、右ターン、左ターン、または45度のカットを正しく実施する方法を教えます。そのために私たちは、「1-2 スティック」と呼ばれるシンプルなドリルから始めます。...

Webinar Report|R-body「伝え方の質を高める」Reach Program |...
今回は、先日開催した無料ウェビナーの内容の一部をご紹介いたします。 株式会社R-body の荒井秀幸先生に「Reach Program」について解説いただきました。 本ウェビナーは10/18~19に開催するパフォームベタージャパンサミット2025のプレウェビナーになりますのでご検討中の方は参考になれば幸いです。 ■テーマ:Reach Program 「知識・技術だけでは足りない:現場で求められる成果を引き出すコミュニケーションの力」 プレウェビナー編 ■開催日:2025年7月23日 ■講師:荒井 秀幸 (株式会社R-body Chief Technical Officer) 現場で成果を出すために求められる「伝え方の質」 トレーナーやセラピストなどの専門職にとって最も重要なのは「成果を出すこと」であり、そのためには知識や技術だけでなく、“伝え方の質”を高めることが不可欠です。 ****いくら正しい知識を持っていても、それが相手に伝わらなければ意味がなく、「伝えたつもり」が誤解や行動の不一致を生み、最終的に成果に結びつかないケースも多いです。 現場で信頼される専門家であるために、“伝え方”は再現性のあるスキルとして捉える必要があります。 Reach Programとは? Reach Programは、属人的になりがちなコミュニケーションを再現可能なスキルとして体系化した教育プログラムです。 R-bodyでは指導の結果を「偶然の成功」にとどめるのではなく、「誰でも一定の成果を引き出せる型」として再現できるようにしています。 「伝わる → 行動が変わる → 成果が出る」という一連の流れを科学的かつ実践的に整理し、トレーナーやセラピストのスキル全体を底上げする仕組みがReach Programです。...

PERFORM BETTER SUMMITの楽しみ方
PERFORM BETTER JAPANの石田です。今回はPERFORM BETTER JAPAN SUMMITを受講するうえでのポイントをアメリカ本社が主催する「PERFORM BETTER SUMMIT」の事例も交えてご紹介いたします。今年も8月14日(水)〜16日(金)の3日間、本社が所在するロードアイランド州で開催されるSUMMITに私も参加予定です。ロードアイランドでの開催は、これまでのシカゴ、ロングビーチに続き、3都市目となります。 PERFORM BETTER SUMMITとは PERFORM BETTER SUMMITは20年以上前から毎年アメリカ各地で開催している3日間のセミナーで、各会場で30名近い講師が登壇し約1,000人の受講者が参加します。登壇する講師はアスレティックトレーナー、S&Cコーチ、理学療法士、フィットネスインストラクター、栄養士、元アスリートなど資格、職種ともに多岐に渡ります。受講者は講師同様の資格、職種に加えて、中学、高校の先生やフィットネス愛好家など日本のセミナーではあまり見かけない業種の人たちも多く参加しています。会場ではLecture roomとHands-onのそれぞれ2部屋が用意されており、合計で4つのセミナーが1コマあたり75分で同時に進行していきます。受講者は自分の好みのセミナーを毎時間ごとに選択しますが、セミナールームの出入りは自由なため、お目当ての講師、初めて受講するテーマ、または自分の専門外のテーマのセミナールームに入ったりと多種多様な受講方法でサミットを楽しんでいます。日本でも2018年からPERFORM BETTER JAPAN SUMMITを開催しており、毎年 150 名以上の受講者が新たな学びや、受講者同士の交流を求めてサミットへ参加していただいています。講師、受講者の輪を拡げ、日本では「トレーナー」と呼ばれる職業の中に多くある資格の垣根を越えた情報交換、交流、学びの場とすること を開催の目的としています。 PERFORM BETTER SUMMITの受講者 私が初めて本社のSUMMITに参加したのは2016年のロードアイランドでした。その時は日本からツアーを組み、総勢20名でツアー参加者と講師兼通訳のみなさんと一緒にSUMMITを受講しました。アメリカ本社の受講者の特徴としては前述の通り職種が多種多様な点です。日本の受講者でも多いアスレティックトレーナー、S&Cコーチ、理学療法士はもちろんですが、中学、高校の先生やフィットネス愛好家、フィットネスインストラクターなど日本ではあまり見かけない業種や資格の人たちが自身の学びと受講者同士のつながりを求めて参加しています。 SUMMITの特徴 1.Hands-on(実技) SUMMITの1番の特徴はPERFORM BETTER製品を活用した実技セミナーです。会場内にはミニバンド、スーパーバンド、ケトルベル、メディシンボールなどの定番商品はもちろん、SUMMITが開催される時期の新商品も準備されていて、講師が運動指導で実践している活用法も紹介されます。受講者が複数のグループになり、トレーニングしながらお互いの身体の動きをチェックしながら講師の説明をお互いに確認し合います。 2.Lecture(講義)...
PERFORM BETTER SUMMITの楽しみ方

Webinar Report|モーターコントロールマトリクス(近藤 拓人先生)|サミットプレウ...
今回は、先日開催した無料ウェビナーの内容の一部をご紹介いたします。 オンラインアカデミーのAZCARE ACADEMYやオンラインサロン PLAZ+を主宰し、パーソナルトレーニングジムNEXPORTでは代表を務められている近藤拓人先生に「運動を5段階に分けて定義し、再構築する方法」について解説いただきました。 本ウェビナーは10/18~19に開催するパフォームベタージャパンサミット2025のプレウェビナーになりますのでご検討中の方は参考になれば幸いです。 ■テーマ:モーターコントロールマトリクス:姿勢・動作の再構築を目指した5階層モデル(2025年版)プレウェビナー編 ■開催日:2025年7月20日 ■講師:近藤 拓人 (AZCARE ACADEMY 代表 / NEXPORT 代表) モーターコントロールマトリクスとは? 姿勢や動作のコントロールに必要な介入を、5つの階層モデルに分類し、段階的に実践していくのがモーターコントロールマトリクスです。 以下の5つの段階に沿って、現場でのトレーニング処方や感覚器介入の考え方を紹介いただきました。 1.感覚統合(Sensory Integration)2.内的焦点(Internal Focus)3.外的焦点(External Focus)4.外部負荷(External Load)5.課題思考型の運動(Goal-Directed Movement) それぞれの段階では、感覚系、神経系、筋骨格系の連携を前提としたトレーニングの選定が紹介され、感覚運動科学に基づいた介入の重要性が示されました。 包括的なトレーニング戦略としての5階層モデル 本モデルは単なる運動の分類ではなく、低・中・高強度の運動を統合した包括的なトレーニング戦略として位置づけられます。 たとえばNEXPORTでは、 ・低強度のフェーズではピラティスを活用し、正しい動作学習とリグレッションにより身体を整える ・中強度フェーズではムーブメントトレーニングを通じて外的焦点を引き出す ・高強度フェーズではウエイトやスレッド等を用いたパフォーマンストレーニングを実施 このように、「どのフェーズを誰に、いつ、どの順序で提供するか」を設計することで、リハビリから競技力向上まで幅広い対象に対応可能なアプローチとなります。 特徴的な介入例:ピラティスリフォーマーでの姿勢制御トレーニング...

【ケトルベル活用】Gray Cook氏寄稿『新しい視点で見るバランス』のご紹介
日々新たなトレーニング理論が増えていく中で、インプットした内容を日常のクライアント指導にどう活かせばよいのか悩んでいるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。 本コラムでは、最新のトレーニング理論やそれを現場に活用するために必要な器具をご紹介します。ぜひ、日常の指導にお役立ていただけますと幸いです。 今回はFMS(Functional Movement Screen)の創設者 Gray CookがPERFORM BETTER本社のブランドサイトに寄稿した「新しい視点で見るバランス」をご紹介します。既に多くの施設に導入いただいている「ケトルベル」を活用した内容になっておりますのでぜひ最後までご一読ください。 バランスを再考する:新しい視点で見るバランス 著者:Gray Cook(FMS) 私の最初の著書『Athletic Body in Balance』は、キャリアの初期に目の当たりにしたことへの反応として書きました。スポーツと整形外科の理学療法士、そしてパートタイムのストレングスコーチとして、さまざまな身体の動きや活動を見てきました。そこでは多くの予想外の発見をしましたが、特に感じたのはアスリートや患者、クライアントの評価を行う際の「均等性の欠如」でした。 「均等性」という言葉を使う際に意味するのは、動作やフォームなど身体機能における以下の全てを含めてご理解ください。 ・上半身の発達が過剰で、下半身が未発達・下半身の発達が過剰で、上半身が未発達・特定の部位に制限がある一方で、他の部位に制限がほとんどない・一部の動作パターンで制限が顕著だが、他のパターンには制限がない・身体の前面の筋肉の発達が過剰で、後面の筋肉が未発達・身体の後面の筋肉の発達が過剰で、前面の筋肉が未発達・プッシュ動作は得意だが、プル動作は充分にできない・プル動作は得意だが、プッシュ動作は充分にできない・身体の左右の非対称性 これらのうち、特に左右の非対称性は怪我のリスクに関連しているエビデンスが出ています。実際、私の講義の多くは、動作スクリーニングや評価を通じて非対称性や運動制御の問題を発見し、それが怪我や再傷害のリスクファクターであることに焦点を当てています。私の専門的な仕事は、常にエビデンスと研究に基づいていますが、それに加えて他の要素にも配慮しています。ここではこれらについてさらに掘り下げていきましょう。 特定の活動に特化したトレーニングを受けた体の特徴 それぞれ異なる方法で鍛えられた身体は、発達させてきた活動の種類やスタイルが特徴として現れます。 特定の活動に特化したトレーニングを続けるとその活動に適した身体の特徴になっていきますが、場合によっては過剰に型にはまってしまい、私たちが本来持っている動作のポテンシャルをすべて奪ってしまうことがあります。だからこそ、私は専門性の高いアスリートに対して、機能的な動作パターンをバランスよく維持することをアドバイスしています。全ての動作パターンをトレーニングする必要はなく、重要なのはそれらを維持することです。機能的な動作パターンが失われると、バランスの取れた身体の基盤にひびが入る前兆となります。専門化自体が悪いわけではなく、重要なのは特定の活動に過剰に適応しすぎてバランスを失うことが問題であるということです。 パワーのバランスを考慮したトレーニング 優れたストレングスコーチは、パワーのバランスに関心を持っています。彼らの焦点は動作パターンのバランスにあるわけではありませんが、少なくともバランスには配慮しています。彼らはパフォーマンスのバランス、プッシュとプルなどの能力に見られる基本的なバランスを重視しています。これが直感的な判断でわかるのは、私たちの動作パターンは対向するパターンから成り立っているからです。理学療法の学校では、スパイラルと対角線の固有受容性神経筋促通法(PNF)パターンが、身体の中心を軸として頭に向かって動く動作(feeding patterns)と、頭から離れていく動作(protection patterns)を表していると説明されました。パンチや投げる、振るなどの動きがこれらの基本的なパターンから成り立つ様子がわかりやすいです。 プッシュとプルの動作のバランス 優れたストレングスコーチやトレーナーは、プッシュとプルのパターンをしっかりと確立することで、より専門的なパターン(両方を組み合わせたもの)を支える土台が築かれることも理解しています。私はこれまで、リフトをプッシュ、プル、そしてコンビネーションに分類してきました。それは、「単一の筋肉だけを使ったリフト」という考え方から抜け出すためです。基本的に、プル動作とプッシュ動作は同じ筋肉を異なる方法で使用します。動かす筋肉と安定させる筋肉の役割は、しばしば逆転しています。最高のリフトは常に全身の筋肉を使いますが、私たちは依然として主動筋でリフトを分類する傾向があります。プッシュとプル動作の強さのバランスを取ることで、スポーツの種目に関係なく、安定した身体のプラットフォームを作ることができます。私からの唯一の注意点は、まず動作パターンを必要十分なものにすることです。これは私の習慣なのですが、専門家として動きの基本、つまり最低レベルの動作パターンの能力なしに運動を論じるべきではないからです。つまり、プッシュやプルを鍛えるだけで動作の修正が得られるとは考えないということです。それらのエクササイズは、ベースとなる適切なムーブメントパターンの上で成り立つコンディショニングエクササイズと考えるべきです。言い換えれば、FMSの最低ラインである非対称性が少なく各テストで2点以上を獲得できる状態です。 これらの理解が難しければ、まずはこちらの書籍をご確認ください。『ムーブメント -ファンクショナルムーブメントシステム:動作のスクリーニング,アセスメント,修正ストラテジー』 クリーンとプッシュプレス:シンプルな動作が最適?...

Webinar Report |FMS応用事例|パーソナルトレーニングジムへのFMS/SFMA...
今回は、先日開催したFMS JAPAN様とのコラボウェビナーの内容の一部をご紹介いたします。FMS/SFMAを現場で導入・活用しているお二人の施設オーナーにご登壇いただき、現場での導入経緯、評価方法、チームでの運用体制など、実際の活用ノウハウを共有していただきました。 ■テーマ:パーソナルトレーニングジムへのFMS/SFMAの応用 -FMS/SFMAイントロ - ■開催日:2025年5月24日 ■講師 ・矢野 耕二 (株式会社One Day Design 代表 / GROUND RULE.代表) ・渡部 真吉 (株式会社e-MOTIONs代表取締役 / Physical Conditioning Lab. Re:Set 代表) ・上松 大輔 (株式会社Functional代表) FMS/SFMAとは? FMS(Functional...

ジム開業|Next Gen Bouldering様
今回は、オリンピックメダリストの野中生萌選手がオーナーを務める「Next Gen Bouldering」に、弊社製品を導入いただいた事例をご紹介します。 この施設は、クライミングカルチャーの進化と次世代クライマーの育成を目指し開業されました。 Next Gen Bouldering公式ブランドサイトより: 「Next Genは、クライミングカルチャーの進化を目指すジムです。私たちはただクライマーを育てるのではなく、生み出すことにこだわります。子どもたちを育成し、世界へ送り出すことはもちろん、大人も含め、あらゆるクライマーがここから生まれる場所をつくります。しかし、私たちの使命はそれだけではありません。過去と現在をつなぎ、未来へと受け継ぐことも大切にしています。伝統を大切にしながら、新たな可能性を切り拓き、クライミングカルチャーをさらに盛り上げ、発展させていきます。」 1.ご依頼の経緯 野中選手の担当トレーナー、竹口さまから紹介いただいたご縁をきっかけに、ご依頼をいただきました。 長年トレーニングをともにし、野中選手のリクエストやトレーニングポリシーを熟知している竹口さまにも意見をお伺いしながら、最適なトレーニングスペースを形にしていく方針でプロジェクトがスタートしました。 2.ご相談時の要望 (1)トップアスリートも使用できる本格的なボルダリング施設にしたい (2)床材はトレーニングジムで使用されるラバーマットを希望 これらのご要望を元に、施設に最適なトレーニング器具の選定とレイアウト設計が行われました。 3.導入器具 導入された主な器具は以下の通りです: (1)ハーフラック ハーフラックは、アスリートのストレングストレーニングにおいて非常に重要な器具で、スクワットやデッドリフトなどの高負荷トレーニングには不可欠です。パフォームベターのスクワットラックは本体の重量が十分にあるため、高重量を扱う際でも安定性を確保し、トレーニングの質を高めます。 (2)ケトルベルラック ケトルベルラックは、ケトルベルを効率よく収納できるラックで複数の重量のケトルベルを整理し、トレーニングエリアを広く使うために役立ちます。スペース効率が良いため、少ない面積でケトルベル以外にも多くの器具を収納でき、ジムの整理整頓を助けます。 (3)アクアバッグ アクアバッグは水を入れて重さを調整できるトレーニング器具です。最近はアクアボールと合わせてアスリートのみならずパーソナルトレーニングジムにも不可欠なものとなっています。水で負荷を調整するような器具は器具を使うことが目的となりエクササイズだけを真似して本来の目的が曖昧になってしまうことが多にしてあります。竹口さんのようにトレーニングの原理原則やコンセプトを持って施設をデザインするトレーナーさんは器具の良さを更に引き立てますので、導入される際はエクササイズと合わせて得られる効果なども学ばれるとより有効活用ができるかと思います。 ⑷キャスター付きマットラック キャスター付きマットラックは、トレーニングエリアを効率的に使うために最適な収納ラックです。移動が簡単で、使いたい時に素早く設置できるため、限られたスペースを有効活用できます。今回はトレーニングエリアは競技練習前のストレッチでの使用も想定されているためマットと合わせて導入いただきました。 ⑸ケトルベル、メディシンボール など ケトルベルやメディシンボールは、アスリートのトレーニング効率を最大化するためにエクササイズの幅を広げることに役立ちます。パフォームベターのトレーニングツールは形状はもちろんですが表面の加工など細かな仕様にアメリカ本社が契約するトレーナーの意見が反映されており、さまざまなエクササイズに活用しやすくなっております。これによりアスリートのトレーニング時の不要なストレスを軽減し安全で集中できるトレーニング環境を提供します。 4.まとめ...
ジム開業|Next Gen Bouldering様

【ジャムボール】活用の幅を広げるエクササイズ動画
今回は人気商品ジャムボールを使用したエクササイズバリエーションをご紹介いたします。 エクササイズのポイントや活用シーンの例なども記載しておりますので、ぜひ最後までチェックいただけますと幸いです。 爆発的な回旋パワーを鍛える「スプリットスタンス × チョップ」エクササイズ スポーツ動作に欠かせない爆発的な回旋パワーを鍛えるツールとして、ジャムボールは非常に有効です。 特に、ジャムボールを使用してのチョップ系のエクササイズは、跳ね返りを気にせずに、コンセントリックフェーズにフォーカスして動作を遂行できる実践的なエクササイズとして、現場で多く活用されています。 今回は、以下の2種のエクササイズをご紹介します。 Rot-Para-Horiz JB Chop Split Switch NCM ポイント: ・近位から遠位への”Kinetic Linking”を用いて動作を行う・可能な限り素早く前後の脚をスイッチする・爆発的にボールを壁に投げつける 活用シーン例: ・野球、テニス、ゴルフなどのスポーツにおける、回旋パワーの強化・水平方向への力の伝達効率の改善・強化 Rot-Perp-Vert JB Lateral-Chop Split NCM ポイント: ・近位から遠位への”Kinetic Linking”を用いて動作を行う・反動を使わずに、予備収縮を用いて動作を行う・爆発的にボールを地面に叩きつける 活用シーン例: ・野球、テニス、ゴルフなどのスポーツにおける、回旋パワーの強化・垂直方向への力の伝達効率の改善・強化...
【ジャムボール】活用の幅を広げるエクササイズ動画

vol.13 動画|スーパーバンドを使用したエクササイズバリエーションのご紹介
今回はオンラインショップで公開中の「MINI BAND & SUPER BAND Lab.」より、スーパーバンドを使用したエクササイズバリエーションをご紹介いたします。 エクササイズの目的や重要なポイントなども詳しく記載しておりますので、ぜひ最後までチェックいただけますと幸いです。 3 Step Deceleration(Forward) 目的・エクササイズ特性 ・下肢の強化(レジスタンス)+体幹部の安定・減速時における延伸性収縮の獲得 ターゲット 臀筋群・大腿四頭筋・ハムストリングス・コア 使用アイテム スーパーバンド 1.9cm幅 イエロー 動作手順 1.スーパーバンドの中に体を入れ、ラックから離れたところに立つ。2.ラックに向かって3歩走るようにステップし急停止する(バンドの張力に負けないようにしっかりと下肢でスピードを止める) 重要なポイント ・体幹部のニュートラルポジションを維持する。・ニーインを起こさないようにする。・膝関節+股関節屈曲を同時に行いコーディネートされた(協調性のある)遠心性収縮を行う。 コーチングキー スーパーバンドの力に引っ張られないようにしっかりと前脚で地面を踏みしめる。 よくあるエラー ・ニーイン(膝が内側へ入る)・つま先荷重 セッティング手順 1.スーパーバンド2本を結ぶ。2.スーパーバンドをラックにつける。 2...
vol.13 動画|スーパーバンドを使用したエクササイズバリエーションのご紹介

ジム開業|ロゴ入り床材・ラック導入(PADDLE pilates銀座店様)
今回は、2024年10月にオープンしたPADDLE pilates銀座店様の、トレーニングエリア導入事例をご紹介します。 施設について 2022年8月に表参道でオープンしたPADDLEピラティスは、姿勢・動作・不調改善を専門とする完全予約制のパーソナルスタジオです。代表の渡邉真悟さんは、機能解剖学・自律神経・呼吸の知識を融合させた高品質なセッションに定評があり、現在では予約7~8ヶ月待ちとなるほどの高い人気を誇ります。2024年10月に新たにオープンした銀座店では、 既存のピラティス指導に加え、より多角的な動作アプローチを可能にするストレングストレーニングエリアが設置されました。弊社では、この空間における床材・トレーニング機材・収納ラックの導入をサポートさせていただきました。 ご相談時の要望 ご相談いただいた際、以下のような明確なご要望を伺いました。 ・ピラティスに加えて、 より多角的な動作アプローチが可能な空間を確保したい ・高重量のトレーニングでも床を傷つけない、衝撃吸収性の高い床材を導入したい ・高強度トレーニングにも耐えられる、安定性の高いハーフラックを設置したい それぞれの目的に対して、 機能性・耐久性・空間効率を重視したご提案を行いました。 1.衝撃吸収に優れた「床材」 トレーニングエリアの床材には、30mm厚のSPORTEC Styleを導入。優れた衝撃吸収性と耐久性により、シャフトなどの高重量トレーニングでも床を傷める心配がなく、静音性や安全性にも優れた仕様です。ピラティスエリアに影響が出ないよう、ハーフラック周辺のみに範囲を限定して施工しました。さらに、 床材にはPADDLE様のロゴをプリントした特注デザインをご採用いただき、ブランドイメージの一体感にも配慮しています。 2.高重量の利用にも耐えるプロ仕様のハーフラック トレーニング機材としては、弊社オリジナルのPBハーフラックを採用いただきました。堅牢な構造により、スクワットやデッドリフトといった高重量トレーニングにも対応可能で、安定した使用感を維持しながら、安心・安全な指導環境を提供します。また、 ラックに備えられた懸垂バーは、壁面設置が難しい施設でもサスペンション器具の使用や懸垂動作が可能です。角度をつけたプッシュアップなど、空間を活かした多彩なトレーニング展開にも活用されています。 3.さまざまなツールをまとめて収納できるハロスストレージラック 今回の導入にあたり、ハイドロベスト、アクアボール、アクアバッグ、バナナステップ、ケトルベル、メディシンボール、スタビバー、エクササイズバンド各種など多彩なトレーニングツールも合わせて導入いただきました。それらを効率よく整理・管理できるよう、多段式で収納力の高いハロスストレージラックを設置しました。使用頻度や種目別に器具を配置できることで、限られたスペースでも導線を確保しながら快適にご利用いただける環境が整いました。 ご紹介した器具や施設の開業にご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

Webinar Report |腰痛改善エクササイズ|ミニバンド&スーパーバンドの活用方法(根...
今回は、先日開催したActive-Aid Program 様との無料コラボウェビナー第六弾をご紹介いたします。腰痛は多くの人が経験する身体の不調のひとつです。 今回のウェビナーでは、講師の根城祐介さんに伸展型腰痛に着目した評価とアプローチについて解説いただきました。 本レポートでは、 解説に加えて実践エクササイズの動画も豊富に掲載しております。現場で役立つ内容が詰まっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 ■テーマ:腰痛改善エクササイズ: コンディショニングからトレーニングにおけるミニバンド&スーパーバンド活用法 ■開催日:2025年5月21日 ■講師:根城 祐介 (Active-Aid Program代表取締役) 伸展型腰痛の評価と考え方 「立ちっぱなしで腰が張る」「座ると少し楽になる」 このような訴えは、背面の筋群の過活動(ハイパーアクティブ)に起因する伸展型腰痛の可能性があります。 評価の視点として以下の3点をポイントに挙げました。 ・長時間の立位で張り感が強くなる ・座位や前屈後に一時的に軽減する ・運動後に腰部が張りやすい これらの症状がある場合は、過活動・不動・低出力といった要因が複合的に関与している可能性が高く、それらに合わせたアプローチが求められます。 また、骨盤帯のランドマーク(上前腸骨棘と恥骨結合)を用いた評価も重要です。 「前傾」と「フォワードローテーション」を区別して観察することで、腰椎に加わる剪断ストレスの有無を見極める視点を解説いただきました。 ミニバンド&スーパーバンドを用いた運動介入 ミニバンドの活用 ミニバンドは短い距離で明確な抵抗を与えられるため、局所の筋の正しい収縮パターンを引き出すことや、代償動作の観察に適したツールです。 ・骨盤や股関節の正しい動きを引き出すためのアプローチ ・仰臥位や側臥位での安定性向上 ・小さな可動域での制御能力の強化 など スーパーバンドの活用...
Webinar Report |腰痛改善エクササイズ|ミニバンド&スーパーバンドの活用方法(根...

Webinar Report|キャリア形成に必須!トレーナーに必要な「マネジメント力」とは?|...
今回は、先日開催した無料ウェビナーの内容の一部をご紹介いたします。全国で33店舗以上を展開するDr.トレーニング代表・山口元紀さんを講師にお迎えし、トレーナーに必要な「マネジメント能力」についてお話しいただきました。 離職率ゼロという好成績を達成した過去の実績と、組織拡大に伴い直面した課題についてご自身の経験をもとにしたエピソードを交えながら解説いただきました。 ■テーマ:キャリア形成に必須!トレーナーが身につけるべきマネジメント能力 ■開催日:2025年4月24日 ■講師:山口 元紀 (Dr.トレーニング代表) 組織の成長に必要な視点とは? 組織が小規模なうちは属人的なマネジメントでもうまくいくものの、キャストが30名を超える規模になると、個々にかける時間が物理的に難しくなってきます。 このため、「共通言語の不在」が、ひとりひとりの解釈のズレを生み、結果として意思決定の不整合に繋がります。 また、「ルール」を細かく定めるより、ある程度の余白を残した「枠組み」を共有することで、社員一人ひとりが自発的に行動できる環境を整えることが重要です。 この視点は、ただ単にマニュアル通りに動くのではなく、現場の実情に合わせた柔軟な対応を促し、結果として組織全体のパフォーマンス向上に寄与するものです。 山口さんが実践するマネジメントの3つの鍵 1.ビーイングマネジメント(姿勢で引っ張る) 知識や技術だけでなく、率先して行動する「姿勢」が最も大切です。 現場では、どれだけ先頭に立って実践し、「自らの行動で示す」ことが、部下や同僚に対する大きな信頼へと繋がります。 実際にキャストとの飲み会や現場でのコミュニケーションを積極的に行うことで、リーダーとしての存在感や頼もしさを体現しているエピソードをご紹介いただきました。 2.ネットワークマネジメント(頼る力を持つ) 完璧主義に陥りすぎず、苦手分野や自分ではカバーしきれない業務は、早めに周囲に任せるという姿勢も大切です。 「任せる」ことによって、個々のキャストが自分の得意分野で力を発揮し、相互に補完しあう体制が整います。 また、役割分担を明確にし、各人が自分の貢献度を実感できる環境作りが、組織の自走力アップに直結するとの具体例もご紹介いただきました。 3.リフレーミング(主観的達成感を促す) リフレーミングとは、物事の見方を変えることで、成長や進歩を実感させる手法です。 部下が「できなかったことができるようになった」という実感を持つことが、モチベーションの向上と長期的な成長に繋がります。 日々のフィードバックや声かけで、自己評価を前向きに変換する方法として、具体的な事例を交えながら、進捗自覚の大切さご紹介いただきました。 これらのマネジメント手法を実践した結果、Dr.トレーニングでは長期的な離職率の低下と組織の一体感の向上が見られ、150名を超える大規模な組織であっても、共通言語の共有やポジティブなコミュニケーションの浸透により、高いレベルの組織力が維持されています。 また、LINEグループ内での「ポジティブゴシッピング」の実践により、日々のコミュニケーションが前向きな雰囲気を生み出し、メンバー同士の感謝や信頼が確固たるものとなっています。 Q&A Q1.トレーナーは最初からマネジメントを意識すべき? A:最初はトレーナーとしてフルベットした方がいいと思いますね。 僕自身も25歳くらいまではひたすら勉強して、スキルを磨くことに全振りしていました。...

vol.12 動画|スーパーバンドを使用したエクササイズバリエーションのご紹介
今回はオンラインショップで公開中の「MINI BAND & SUPER BAND Lab.」より、スーパーバンドを使用したエクササイズバリエーションをご紹介いたします。 エクササイズの目的や重要なポイントなども詳しく記載しておりますので、ぜひ最後までチェックいただけますと幸いです。 Side Lunge + Pallof Press 目的・エクササイズ特性 ・下肢の強化(レジスタンス)+体幹部の安定・減速時における延伸性収縮の準備 ターゲット 臀筋群・大腿四頭筋・ハムストリングス・コア 使用アイテム ・スーパーバンド 0.7cm幅 オレンジ ・スーパーバンド 1.9cm幅 イエロー 動作手順 1.片方のバンドを手で把持、もう片方に体を入れた状態でラックから離れて立つ。2.サイドランジを行い、着地と同時に胸の前へ両手を伸ばしスーパーバンドの張力に耐える。 重要なポイント ・体幹部のニュートラルポジションを維持する。・体幹部の共同収縮または腹腔内圧を高めて体幹部がブレないように行う。 よくあるエラー ・ニーイン(膝が内側へ入る)・腰部伸展 セッティング手順...
vol.12 動画|スーパーバンドを使用したエクササイズバリエーションのご紹介

科学と伝統の融合でポテンシャルを引き出す~“うまくなれなかった”元球児が見つけた答え~(木村 ...
トレーニングと野球の技術指導のハイブリッド型パフォーマンスコーチ 木村匠汰さん Trainer's Journeyと題し、スタートしたシリーズ企画。この企画では、精力的に活動されている若手・中堅トレーナーの皆さまにお話を伺い、それぞれが大切にしている指導の理念や、その考えに至った背景、今後の挑戦について深掘りしていきます。第5弾は、大阪市住之江区に野球特化型トレーニング施設「BEYOND BASE」を開業し、技術指導とトレーニング指導の両面から野球選手をサポートする木村匠汰さんにお話を伺いました。 指導者志望から野球パフォーマンスコーチへの道 ーまずはこれまでのご経歴と、木村さんがパフォーマンスコーチ(トレーナー)を志したきっかけについて教えてください。 私は小学生の頃から野球をしていて小中学校の頃は北海道の地元のチームでそれなりにプレーにも自信があったのですが、強豪校に進んで高校3年生の時にメンバーから外れてしまったことをキッカケに野球の指導者になりたいと考え、将来は高校野球の監督を目指して教員の道に進もうと思っていました。実際に教員免許を取得するために大学に進学し、野球部に入るつもりはなかったのですが、入学後に入部することになり、2年生の秋からはキャプテンになったり4年の春までプレーしました。プレーしていく中で「選手を指導するには身体の仕組みやトレーニングの専門知識も必要だ」と感じ始めて、大学3年生のときに日本トレーニング指導者協会(JATI)の資格を勉強して取得しました。その学びを通じて、「自分が本当にやりたいことはトレーナーだ」と気づき、指導者(教員)の道ではなくトレーナーを志しました。大学4年の春に野球部を引退してからは、本格的にトレーナーとしての勉強を開始。縁あって北海道の札幌国際大学で実績のあるストレングス&コンディショニングコーチの方の元で現場指導しながら学ばせてもらい、その頃にNSCA認定のストレングス&コンディショニングスペシャリスト(CSCS)の資格も取得して本格的にトレーナーの道に進んで行きました。その後、お世話になったストレングス&コンディショニングコーチからの紹介もあり就職先として選んだのが大阪・堺市にある阪堺病院のトレーニングジムです。リハビリ施設に併設されたトレーニングジムで、野球の指導に力を入れていたこともあり、「ぜひここで学びたい」と新卒で飛び込みました。最初は正社員ではなく嘱託のような形からスタートしたのですが、熱意が伝わり正式に雇用していただくことになりました。阪堺病院SCAでは4年間勤務し、クライアントは小学生から社会人までの野球選手が半分ぐらいでそれ以外はリハビリを終えた一般の方や80〜90代の高齢の方など、本当に幅広い年代・目的の方々を指導させてもらいました。正直、最初の1〜2年は知らない分野だらけで苦労しましたが、理学療法士やドクターと連携してリハビリ後のトレーニングに関わるなど貴重な経験を積み、そのおかげで視野の広い指導ができるようになったと感じています。そして野球選手へのサポートにもっと専念したいという思いが強まり、4年勤めた後の26歳の時に職場を退職して筑波大学大学院に進学しました。大学院では野球の動作やトレーニングについて研究しつつ、並行して野球チームの指導現場にも関わりました。大学院修了後、大阪へ戻り、現在は自身の施設「BEYOND BASE」でプロ野球選手から小中学生まで幅広い野球選手の指導にあたっています。 科学と伝統を融合する独自の野球指導哲学 ー木村さんは現在、ご自身の施設でトレーニング指導と野球の技術指導の両方を行っているとのことですが、普段の指導ではどのようなアプローチや哲学を大事にされていますか? 施設ではMLBやNPBのトップ選手から小中学生も含めた野球選手のトレーニングから投げる、打つなどの野球の技術指導もしています。チームに帯同する時は試合中にベンチに入って選手交代や戦術に関わることがありますし、選手の身体データをとって特徴を活かすようなアドバイスをしたりスカウティングのようなことをすることもしています。指導をする際の大前提は「野球選手のパフォーマンスを向上させる」ことで、BEYOND BASEはそのために作った施設です。パフォーマンスを向上させるために必要なことを組み立てて提供しています。具体的には、まずストレッチやコレクティブエクササイズなどで身体機能の改善していきます。そして次に筋力・パワーを高めるためのウエイトトレーニング。さらにはオランダの運動学者フラン・ボッシュの理論を参考に、野球のプレーのパフォーマンスに転移する運動学習の要素も取り入れています。これらを組み合わせて多角的にアプローチすることで、野球のパフォーマンス向上と怪我の予防につなげていくことを心がけています。ただ、最新の科学に基づくトレーニング理論ばかりを押し付ければ良いわけではありません。野球界には昔からの指導法や大事にされてきた文化もありますし、現場の監督・コーチが従来の考え方を持っていることも多いです。私自身、高校野球で伝統的な指導も受けてきましたし、それらを完全に否定するつもりはありません。特に野球は特殊な面があって自分のパフォーマンスが最大限に発揮できたからといって必ずしも競技結果が良くなるわけではありませんし、実際に結果を出している選手の全員が科学的なトレーニングに取り組んでいるわけでもないです。なので関わる選手には科学的根拠に基づくトレーニングの意義や考え方のベースとして「こういうものだ」という最新のことを教育しつつ、従来の指導ともうまく折り合いをつけられるよう助言しています。 最新の知見と伝統的なトレーニングの融合 ーご自身も学生時代に選手に経験したことと、トレーナーとして最新のエビデンスを取り入れていく中で葛藤や切り替わっていくきっかけはありましたか? 正直、トレーナーとして学び始めた頃は効率的な動きや代償動作がこうだって指導に取り入れても、逆にパフォーマンスが上がっているかわかりませんでした。病院勤務の3年目ぐらいから動作パターンや脳や神経などのもっとベースの部分も学び始めたら、全部の正解はわからない中でもある程度の方向性というか、形が見えてきました。その時点の結論としては結局、伝統的なトレーニングだったり自分自身が学生時代に言われてたことも大事だってことです。その辺でアプローチもハイブリッドになってきた感じです。私の感覚としても正直「エビデンスはこうだ」「こういうのが正しい」とこだわってやっていた方が、うまくいかなかった感じはしています。今ではポテンシャルは高いけど野球につながっていない選手への指導が1番得意だという自負があります。私自身もベンチプレスやスクワットの重量が上がるだけでは野球のパフォーマンスは向上しなかったですし、野球の練習をいっぱいしても上手くなれなかったのでその悩みを解決できる指導者になりたいなという思いはずっとあります。 技術コーチと信頼を築く対話力 ー技術コーチや選手とのコミュニケーションで意識していることはありますか?また、どのようにして現場から信頼されるようになっていったのでしょうか? 技術コーチの方と話すときにまず意識しているのは、「相手が何を大事にしていて、どんな考えで技術指導をしているのか」をちゃんと聞くことです。最初に直接お会いした時は必ずその方の考え方やスタンスを伺って、「これは言ってもよさそう」「これは控えた方がいいな」といった情報を自分の中で一度整理します。その上で、「今、チームとして改善したいことって何かありますか?」と先に聞くようにしています。そうすると、「あの選手がこういう状態で」とか「このバッティングが気になるんだよね」といった話が出てくるので、そこから少しずつ「だったらこういうアプローチもあるかもしれませんね」と、対話を通じて自然にこちらの提案を入れていくようにしてるんです。いきなり「これが正解です」みたいな言い方をするとやっぱり壁ができてしまうので、あくまで“対話ベース”で進めていくことが重要だと感じています。これは特に、新しく関わるチームや初対面の指導者の方と接する際には、すごく気をつけているところです。自分が大学院で得た知識や理論をベースにしたとしても、いきなり科学やエビデンスを押し付けてしまうと、技術系のコーチから警戒されてしまう場面は正直まだまだ多いので。実際、うまく対話にならないケースもあります。でもそういうときに、「それは僕に任せてもらって大丈夫です」と現場で信頼を得て任せてもらえるような立場になれることが、トレーナーとしての目標でもあります。また、選手との関係でも同じで、自分の考えを押しつけず、選手がどう感じているかをよく聞いて、そこに自分の知識や提案をうまく“重ねる”ようなコミュニケーションを心がけています。現場で「信頼されるパフォーマンスコーチ」になるには、知識や技術と同じぐらい、コミュニケーション能力が求められるなと実感しています。 野球界からも認められ始めたきっかけ ー何か具体的に認められ始めたことを実感したきっかけはありますか? 信頼を得てたと実感した一つ目の転機は、大学を卒業した1年目から国立の和歌山大学野球部に関わっていて、数年かけてチームが安定的に結果を出して今では優勝して全国大会に出るようなチームになっています。必ずしも高校野球で活躍した選手ばかりではないメンバーのパフォーマンスが上がり、チームとしての結果も出ていく過程で、「木村が関わってチームが強くなった」と野球界の中で徐々に認知されていったんです。そこから少しずつ、自分のトレーニングや考え方が周囲に認められるようになっていったという実感は初めてありましたね。その後、大学院に入ってから筑波大学の野球部にも指導させてもらう機会があって、その時にレギュラーではない選手がレギュラーになり、首位打者を獲り、最終的には日本代表合宿に呼ばれるようになりました。その頃に私もSNSなどで自分からも情報発信を積極的にしていてフォロワーも増えてきて実感が増していきました。更にそこからMLBの松井裕樹選手からお声がけ頂いたりプロ選手の指導にも携わるようになったので三段階で認めていただけていることを実感していきました。 大学院、SNS、往復生活…過酷な2年間 ーここまで順調にキャリアを積んできたように見えますが、振り返って「これは大変だった」「苦労した」という出来事はありますか?また、それをどのように乗り越えましたか? 最も大変だったのは、筑波大学大学院で過ごした2年間です。26歳で勤めていた病院を辞めて入学したわけですが、「大学院生」という立場だけに甘んじず、同時に指導者としての現場経験も積もうと決めていました。そこで当時、週の半分は関東の筑波で授業や研究、残りの半分は関西で野球チームや選手の指導をするという生活を2年間続けたんです。平日は筑波で研究に打ち込み、週末は大阪に戻って指導――まさに東奔西走の日々でした。研究では野球の動作解析など専門的な課題にも追われ、時には深夜まで分析作業をしてそのまま車で羽田空港へ向かい、早朝の便で伊丹空港に飛んで機内で睡眠をとり、着陸したら大学のグラウンドに直行なんてこともありましたね。肉体的にもハードでしたが、自分を鍛える意味では非常に濃密な2年間でした。また、この大学院時代に合わせて、自分の名前を野球界に広く知ってもらうための発信にも力を入れ始めました。具体的には先述したSNSでの情報発信をスタートし、さらに野球選手向けのオンラインサロン(コミュニティ)も立ち上げました。ちょうどコロナ禍で指導現場が制限される中、Zoomを使ったオンライン指導や情報交換が盛んになり始めた時期で、野球界ではオンラインサロンは珍しかったのですが、その先駆けとして挑戦したんです。同時に複数のチャレンジを抱えて正直しんどい部分もありましたが、結果的に大学院での研究で理論的土台を築け、SNSやオンライン活動で野球界に名を知ってもらう基盤を作ることができました。この過酷な2年間を乗り越えたことで、自分の指導者としての方向性が定まり、大きな自信にもつながったと感じています。 セミナーから海外視察まで、貪欲に学びを追求 ー常に最新の知識や技術を取り入れて指導されている印象ですが、ご自身のスキルアップのために日頃から心がけている学びの習慣はありますか? まず、指導者としてアップデートを続けるために、基本的に毎月何かしらのセミナーや研修会に参加するようにしています。最近では「AZCARE ACADEMY」というトレーナー向けのアカデミーにも入学しましたし、他にもパフォームベタージャパンさんのセミナーでよく名前を聞く方々のセミナーにもよく参加しています。月に一度は新しい知見をインプットし、自分の指導内容をブラッシュアップして精度を高めていく。そういった自己研鑽を欠かさずに続けています。さらに、自分の視野を広げるために海外にも目を向けています。大学院を修了した2年ほど前には、時間を作ってアメリカの野球トレーニング施設を視察しに行きました。BEYOND BASEを作るつもりだったので、メジャーリーガーを多く指導されていて私が最も尊敬しているエリック・クレッシー氏の施設にも実際に赴き、MLBの世界ではどんなトレーニングが行われているのか、施設の仕組みやトレーニングコーチ、バッティング、ピッチングコーチがどのように協業していて、指導体制はどうなっているのかを肌で感じました。初めての海外渡航だったのですが、本場の空気に触れて「さすがアメリカは環境が整っている」と刺激を受ける一方で、指導内容自体は「日本も負けていないな」「すでに入ってきているな」と思う部分も多かったですね。むしろ日本の方がきめ細かい指導ができている点もあると感じ、世界基準を知ったことで自国の強みを再認識できました。この経験によって、自分が進めている指導の方向性に自信を持てましたし、良いところは積極的に取り入れようという貪欲さも一段と増したように思います。...
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