今回はジムの開業をする上で非常に大切な「スペース」と「器具の配置」についてです。
トレーニングの効率を最大化し、快適で機能的なジム作りを目指すためにジム開業における「代替がきく・きかない」を考慮したレイアウトと器具の選定について、5つのポイントに分けてご紹介します。
1. レイアウトの考え方:「どこに何を置く」より「どこで何をする」を先に考える
施設を設計する際、最も重要なのは「どこに何を置くか」ではなく、「どこで何をするか」です。レイアウトを考える前にまず、トレーニングメニューや施設のコンセプトを明確にしましょう。
例えばプラットフォームを設置する場、スクワットラックやその他のウェイト器具は後からでもレイアウトの変更は可能ですが、プラットフォーム自体を移動または撤去するのは大掛かりな作業になります。
プラットフォームや、メディシンボールウォールなど「専用のエリア」になる設備は「どこで何をするか」を事前にしっかりと見極めることを推奨しています。
2. フリースペースは必要?
ジムの自由度や利便性を高めるためにフリースペースを取り入れるケースは増えていますが、全ての施設に必須ではありません。フリースペースを設ける際は、まず施設のメインの用途を考慮し、その上でどう活用するかを決めておくことが大切です。
器具を置かずに「なんでもできるスペース」として準備したものの、ストレッチをするためだけの場所になってしまうケースも見受けられます。
「代替がききすぎる」が故の悩みになりかねませんので、自身の施設のコンセプトからいくつかの用途を想定しておくことを推奨します。
3. 大型器具のスクワットラック、ファンクショナルトレーナーの配置
スクワットラックやファンクショナルトレーナーなどのケーブルマシンは大型器具は設置場所によって施設全体の効率や安全性が大きく変わります。
特にスクワットラックは安全面も考慮し、周辺の器具との兼ね合いやフリースペースとの距離なども含めて慎重に決めてください。チームスポーツなどのアスリート向けの施設やパーソナルトレーニング限定のジムなど、利用者がトレーニングに慣れていたり、トレーナーの目が届くケースを除いてスクワットラックの周辺は自由度を持たさすぎないことをお勧めします。
4. 初期の段階は「買いたい器具」ではなく「提供したいトレーニング」を最優先
ジム開業時には、器具の購入を急ぐあまり、自分が使いたい器具を選びがちです。しかし、最初に選ぶべきは「提供したいトレーニング」や「施設の目的」に合った「必要な器具」です。
また、器具によっては代替できることもあるため、利用頻度が少ないことが想定される場合は「複数の用途がある」ことも判断基準にすることをお勧めします。
例えば、スーパーバンドをつなぐことでゲームスピード360を代替したり、スタッカブルステップとプライオボックスは優先度の高い方を選択しどちらかを代替するなど検討してみてください。
参考活用例:
https://www.performbetter.jp/blogs/lab/2023081516
5. 安全な施設を作るためのポイント
「安全性」はジムを作るうえで最も大切な要素です。器具同士やエリア間の距離はもちろんですが、利用者やトレーナーがジム内でどう移動するかを想定することも重要です。
例えば有酸素マシンは「トレーナーも不要で有酸素トレーニング以外に使うことはない」ケースがほとんどのため、ジム内では代替不可として独立して考えることをお勧めします。
有酸素トレーニングだけの利用者が多く想定される場合には入り口付近のデッドスペースに設置するなど工夫すると施設内の無駄な導線が少なくなりストレスの軽減につながります。