今回は、先日開催した無料ウェビナーの内容の一部をご紹介いたします。
本講座では、感覚運動科学の基礎から実践的な応用までを丁寧に解説し、現場で役立つ知識やスキルについて具体的にお話しいただきました。
感覚運動科学を初めて学ぶ、以下のような目標を持つ方々に多くご参加いただきました。
「痛みや不調改善ができる運動指導者を目指したい」
「アスリートのパフォーマンス向上に貢献したい」
「現場指導をアップデートしたい」
■テーマ:感覚運動科学の基礎
■開催日:2024年12月15日
■講師:近藤 拓人 (AZCARE ACADEMY 代表 / NEXPORT 代表)
1.感覚運動科学5つのブロックの役割について
感覚運動科学は、クライアントの慢性的な不調やパフォーマンス低下を改善し、根本的な向上を目指す5つのブロックで構成されています。
(1)Treatment (準備のブロック)
セッションの最初に行うステップです。
「治療」という意味を持ちますが、ここでは本来の治療ではなく、セッションをスムーズに進めるための準備に重点を置いています。
目的: 痛み、不安、恐怖、可動制限などを軽減し、後続のトレーニングに集中できる状態を作る
方法: 徒手療法や物理療法(電気治療や圧迫など)を短時間で最小限に実施
このブロックで整えた基盤の上に、次からの本格的なアプローチが続きます。
(2)Corrective (是正・修正)
身体のバランスや動きに不具合がある場合、それを是正・修正します。
主な内容:
・筋肉のバランス調整(働きすぎの筋肉を抑制、使われていない筋肉を活性化)
・可動性(Mobility)と安定性(Stability)の向上
・感覚の統合(Sensory Integration)と動作パターンの修正
ピラティスを運動療法として活用し、必要に応じて器具(リフォーマー、タワー、チェアーなど)を使用します。
(3)Strength (筋力強化)
外部負荷を用いた筋力トレーニングを行うブロックです。
手順:
1.プッシュ動作(押す力)の強化
2.プル動作(引く力)の強化
3.回旋動作の習得
その後、プライオメトリクスやクイックリフトなど、高度なトレーニングに移行します。
(4)Movement (運動制御)
実生活や競技で必要な、環境への適応力を鍛えます。
特徴:
・外部の環境やタスクに意識を向けた複雑な運動制御
・無意識でも正しい動きを習得するためのトレーニング
・競技パフォーマンスの向上や、日常生活での動作改善に直結
(5)Aerobic (有酸素運動)
身体の基本機能を底上げするために不可欠なブロックです。
効果:
・自律神経の調整やストレス耐性の向上
・心肺機能の強化
・身体能力のベースライン向上
2.体性感覚、前庭覚、視覚それぞれの介入方法
体性感覚への介入 1
90-90 Hip Lift
アプローチ
寝た状態で各筋の収縮や呼吸をコントロールする
POINT
尾骨が床から離れるように骨盤を後傾させる
体性感覚への介入 2
Feet in Strap-Leg Circles
ピラティスマシンを使用することで、以下のような効果が得られます。
・動きが大きい:マシンを使うことで、より広い可動域を確保できます。
・多彩なバリエーション:様々な動きが可能になるため、トレーニングの幅が広がります。
特に、脳への効果的なインプットを促すには、異なる動きを多く取り入れ、できるだけ大きな可動域で運動することが重要です。
視覚への介入
Convergence Divergence
輻輳(寄り目)、開散(目が離れていく動き)を評価して奥行きに適応できるかチェックします。 その前には固定視(じっと見ていられるか)、両眼視ができているかを評価しておくことも重要です。
POINT:ターゲットを早く動かしすぎないように注意する
ターゲットが止まっている状態で適応できたら、次はPursuit Horizontal (パスート・水平)でゆっくりとターゲットを追う動きをチェックします。
このパスートが適応できていないと前庭覚のトレーニングに移行できません。(頭が眼球に対して回旋している状態がコントロールできないと、ダイナミックに頭を動かしても適応できないため)
次はSaccade Horizontal(サッケード・水平)でターゲットに向かって早く眼球を動かすトレーニングに移行します。
前庭覚への介入
VOR Horizontal
頭を振りながらターゲットを見る動きです。
POINT:頭を早く動かしすぎないように注意する
適応できれば次はForwrd Roloing(前転・ローリング)で頭をグルッと回転させて状態でターゲットを追ったり、Step-over & Step-underなど頭を直線方向に加速させるトレーニングへと移行します。
3.トレーニングの順序
最初に体性感覚を整え、その後に視覚をアプローチします。視覚を先に進めると、身体が理解しないまま情報が入って混乱し、気分が悪くなることがあります。
そのため、身体の感覚を優先する方が効果的です。
今回は感覚運動科学を初めて学ぶ方を対象にしたウェビナーの開催となりました。 同様のテーマは次回も開催予定ですので、今回ご参加いただけなかった方はぜひお申し込みください。
また、近藤さんには2025年1月12日開催の「運動療法としてのピラティス」にもご登壇いただきます。
ぜひ詳細をご確認の上、お申し込みください。
もっと詳しく知りたい方へ
■ウェビナーの内容についてより深く学びたい方
現地セミナーやオンラインサロン(PLAZ)でも学ぶことができます。
ご興味のある方は以下のリンクより詳細をご確認ください。
オンラインサロン PLAZはこちら
https://plaz.jp/
※2025年1月1日よりPLAZ+の月額料金は2,970円(税込)から3,960円(税込)に改定いたします。ご検討中の方はお早めにご入会ください。
AZCARE ACADEMYはこちら
https://academy.azcare.jp/
今後のウェビナー情報
2025年1月11日(土) 21:00-22:00
テーマ:スポーツニュートリション-基礎 & 競泳編-
講師:川合 智(日本統合療法株式会社代表取締役)
お申し込みはこちら
https://www.performbetter.jp/products/s0089
1月12日(日) 20:00-21:00
テーマ:運動療法としてのピラティス
講師:近藤 拓人(AZCARE代表,NEXPORT代表)
お申し込みはこちら
https://www.performbetter.jp/products/s0091
2月22日(土) 20:00-21:00
テーマ:Contextual Strength Training
講師:九鬼 靖太(大阪経済大学 人間科学部 准教授)
お申し込みはこちら
https://www.performbetter.jp/products/s0092
今回のウェビナーを見逃した方は
4月13日(日) 20:00-21:00
テーマ:感覚運動科学の基礎
講師:近藤 拓人(AZCARE代表,NEXPORT代表)
お申し込みはこちら
https://www.performbetter.jp/products/s0093