今回は、先日開催した無料ウェビナーの内容の一部をご紹介いたします。
感覚運動科学の基礎から実践的な応用までを丁寧に解説し、現場で役立つ知識やスキルについて具体的にお話しいただきました。
今回のレポートではウェビナー終盤に受講者から寄せられた質問とそれに対する近藤先生の回答をまとめています。
本テーマは2024年12月、今年4月、8月にも実施されており、基本構造や理論の整理については、以下のコラム記事にてご紹介しています。
ご参加いただけなかった方や、復習したい方は是非あわせてご覧ください。
■テーマ：感覚運動科学の基礎
■開催日：2025年11月15日
■講師：近藤 拓人 (AZCARE ACADEMY 代表 / NEXPORT 代表)
Q&A
感覚運動科学の理解をベースにウェビナー後半では医療・トレーニング・フィットネスといった多様な現場から寄せられた質問に対し、近藤さんが理論と実践をつなぐかたちで丁寧にご回答をいただきました。
以下、一部抜粋してご紹介します。
Q1：眼球運動に関してもPLAZ＋で学ぶことができますか？
A：
はい、学べます。
視覚の講座は後藤先生が担当してくれていますが、まずは僕の講座を受けたあとに、後藤先生の12回コースを受けてもらうのが一番いいです。
ただ眼球運動だけを学んで現場で使うのはおすすめしません。
リスクもありますし、結局使わなくなるからです。
視覚そのものを理解した上で眼球運動を使うと、すごく効果的なのでその意味でも PLAZ＋ではしっかり学べる内容になっています。
Q2：背面(広背筋、ハムストリングスなど）の感覚を感じづらい方が多いと感じます。日常の体感覚視覚からの情報が少ないからでしょうか？
A：
イメージもあると思いますが、実は広背筋より腹筋群のほうが感覚が薄いです。
特に腹筋下部が全然わからないという方がめちゃくちゃ多いです。
ほかにも前鋸筋、僧帽筋下部、内側広筋、上腕三頭筋など、感覚の入力が入りづらい筋肉っていくつかあります。
なので、背面だから弱いというよりは、そもそも体勢感覚として情報が入りにくい部位が人によって決まっているというイメージのほうが近いですね。
Q3：高齢者でも安全性を確保した上でムーブメントのサービスを提供していますか？
A：
はい、やります。
理想はどんな方でもムーブメントトレーニングをやった方がいいです。
だって高齢者の方でも、階段を上る、散歩する、家事をする…結局ムーブメントですよね。
安全性はもちろん大事ですが、だからといってムーブメントを提供しないのはすごくもったいないです。
その人の状態に合わせて情報量や負荷を調整すれば、高齢者でも十分に実施できます。
Q4：アスリートにおいても感覚系に問題があって不調を抱えている人は多いでしょうか？感覚系へのアプローチによって改善したケースを教えていただきたいです。
A：
アスリートは感覚系の問題があったとしても他の感覚で代償できるケースが多いので評価が難しいです。
例えば視覚、前庭覚に問題があったとしても体性感覚でできてしまうことがあります。
バランステストでロンベルクテストというものがありますが、一般の方は前庭覚の機能が低下すると倒れてしまいます。
ですが、アスリートは足でグッと地面にしがみついて立ててしまいます。
なのでアスリートの場合はより細かな評価が必要になるため、アスリートの評価の方がレベル高いと思います。
おっしゃるようにアスリートにも感覚系に問題がある方はたくさんいます。
アスリートのパフォーマンスアップがなかなかできず困っている方がいたらこの感覚系の勉強はすごく役に立ちます。
Q5：胸椎伸展や屈曲、骨盤の前傾後傾の感覚がうまく伝わらない方には体性感覚でもアプローチ可能ですか？
A：
そもそも胸椎や骨盤を動かすのは体性感覚のアプローチの一つです。
できないときは、もっと楽な姿勢にしたり、ツールを使ったり、こちらがサポートしてやりやすい状況を作る必要があります。
その上で脳に “こう動かすんだ” と覚えさせます。
そこから強度を上げていって、最後は立位やムーブメントなど、意識しなくても勝手にその動きが出る状況をつくるのが大事ですね。
近藤拓人さんが解説する「感覚運動科学の基礎」は、これまで計4回開催してきました。 同テーマの開催は次回で最後です。
予定が合わず受講できなかった方や既に受講した方でも復習を希望される場合はこの機会に是非お申し込みください。
次回の開催は2026年2月11日(水) 20時〜を予定しています。
詳細はPerform Better JapanのウェブサイトやSNSにてご案内いたします。
