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ウェビナーレポート|川合 智さん「スポーツニュートリション- 基礎 & 競泳編 -」

セミナー
ウェビナーレポート|川合 智さん「スポーツニュートリション- 基礎 & 競泳編 -」

今回は、先日開催した無料ウェビナーの内容の一部をご紹介いたします。
前半はスポーツニュートリションの基礎と全てのスポーツに共通する栄養の基本について、後半は主に競泳にフォーカスを当てて具体的にお話しいただきました。

今回のウェビナーはトレーナーの皆さまだけでなく、競泳のコーチや選手、さらには保護者の方々にも多くご参加いただきました。

■テーマ:スポーツニュートリション- 基礎 & 競泳編 -
■開催日:2025年1月11日
■講師:川合 智 (日本統合療法株式会社 代表取締役)

アスリートの健康と栄養の基盤

アスリートにとって、健康は競技パフォーマンスを最大限に発揮するための基盤です。
今回のセミナーでは、健康を支える「栄養療法」とその延長線上にある「スポーツニュートリション」について解説いただきました。

栄養状態の改善がもたらす効果

アスリートの中には健康状態に問題を抱えながら競技を続けているケースが多いことが指摘されました。
適切な栄養療法を行うことで、日常生活の質や競技パフォーマンスを取り戻せる可能性がああります。

押さえておきたい栄養不足の2つのポイント

鉄欠乏(貧血)
鉄欠乏はアスリートの健康における大きな課題です。
特に女性アスリートは注意が必要で、ヘモグロビンやフェリチンの数値を定期的に測定することが推奨されます。
具体例として、東京オリンピック金メダリストの大橋悠依選手が大学時代に貧血を診断され、パフォーマンス低下を経験したエピソードが紹介されました。
このように鉄欠乏が競技力に与える影響は少なくありません。

糖質不足
糖質は筋収縮のエネルギー源や血糖値を維持するために不可欠です。
しかし、特に競泳選手には糖質不足に陥っているケースが多く見られます。
糖質が不足するとエネルギー供給が間に合わず、集中力の低下や筋力発揮の不足を引き起こす可能性があります。

栄養の役割

栄養そのものが直接的に競技能力を向上させるわけではありません。
しかし、適切な栄養管理によって健康を維持し、本来のパフォーマンスを発揮できる土台を作ることが可能です。
アスリートに栄養アドバイスを行う際には、鉄欠乏や糖質不足を見逃さず、継続的なモニタリングと対応が重要です。
特に定期的に血液検査を行い、数値に基づく指導を徹底することが求められます。

アスリートのエネルギー摂取量について

1日あたりのエネルギー必要量

成人が必要とするエネルギー量は、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」に基づいて定められています。
一般的な目安として、1日あたりのエネルギー必要量は以下の通りです。

男性アスリート: 2,900〜3,150 kcal
女性アスリート: 2,300〜2,550 kcal

ただし、多くのアスリートの場合、日々のハードなトレーニングによってこれ以上のエネルギーが必要になることがあります。
特に競泳選手のような高い運動量が求められる競技では、さらに多くのエネルギー摂取が不可欠です。

競泳選手に求められる運動量やエネルギー消費量

水泳では、無酸素能力(パワー・スピード)と有酸素能力(持久力)の両方を高める必要があります。
競技中のエネルギー供給の割合は、100mで33%、200mで65%、400mで81%が有酸素系から得られるとされています。
ただし、有酸素運動時でもエネルギー源として多くの糖質が必要となり、脂質摂取だけでは不十分です。
競泳選手は、水の抵抗を減らす技術を磨くためにプールで長時間の練習を行います。
水の抵抗に打ち勝つためには、技術練習だけでなく筋力トレーニング(ドライランドトレーニング)も重要です。
技術練習では1時間あたり約500kcalを消費し、1回の練習(90〜120分)で約1,000kcalを消費します。
筋力トレーニングも含め、1日複数回のトレーニングをこなす競泳選手は、1日あたり通常のエネルギー必要量に加え、約2,400kcalの追加摂取が求められます。

競泳選手に必要なカロリーは?

前述のエネルギー消費量を踏まえ、競泳選手に必要なカロリーは4,000~5,000kcal程度必要とされています。
4,000kcalを目安とした場合、「炭水化物(糖質)60%、脂質25%、タンパク質15%」の割合が理想のバランスと考えられています。

炭水化物(糖質)
競泳選手にとって、炭水化物は最も重要なエネルギー源です。
1日に必要な摂取量は2,000〜2,400kcalに相当し、グラムに換算すると500〜600gとなります。
体重1kgあたり8〜10gが目安です。
例えば、体重60kgの選手の場合、約600gの糖質が必要です。
お茶碗1杯のご飯(約50gの糖質)を基準にすると、1日に10〜11杯分を摂る計算になります。
ただし、これだけの量を毎日摂取するのは容易ではありません。
そのため、効率よく糖質を摂取する方法を工夫することが、スポーツニュートリションの大切なポイントになります。

タンパク質
筋肉の修復や成長、リカバリーのために必要なタンパク質は、体重の約2倍が目安です。
例えば、体重60〜70kgの選手であれば、1日に130〜150gのタンパク質が必要となり、これに相当するカロリーは約525〜600kcalです。
タンパク質を適切に摂ることで、トレーニングの効果を最大限に引き出すことができます。

脂質
脂質は1gあたり9kcalの高エネルギーな栄養素で、1日100g程度の摂取が理想的です。
これにより、炭水化物やタンパク質とのバランスが整い、1日に必要なカロリーを効率よく補えます。
カロリーに換算すると約875〜1,000kcalとなります。
脂質は適量を守りながら、エネルギー源として上手に活用することが重要です。

糖質不足を解消する方法

競泳選手にとって、糖質不足はパフォーマンス低下の大きな原因となります。
そのため、計画的に3食+補食(おやつ)をしっかり摂ることが重要です。
これは競泳選手だけでなく、健康体を維持するためにも必要な基本的な栄養摂取のポイントです。
さらに、アスリートのスポーツニュートリションでは、練習前・練習中・練習後に必要なカロリーや糖質を補給することが欠かせません。
この方法を実践することで、現実的かつ実行可能な栄養プログラムを組み立てることができます。以下は具体的な摂取方法の例です。

練習開始2時間前
運動中にすぐエネルギーとして利用できる糖質(60〜100g)を、スポーツドリンクなどの飲料で摂取する。

練習開始30分〜1時間前
糖質(25〜50g)を、バナナ1〜2本やスポーツゼリーなどで摂取する。

練習終了直後
糖質(50g)を、プロテインやサプリメントで補給する。

これらを継続することで、パフォーマンスを維持し、必要なエネルギーを効率よく体に供給できるようになります。

今回は、「ニュートリションの基礎- 競泳編 - 」として、栄養の基盤から競泳選手に特化した内容まで丁寧に解説していただきました。
適切な栄養介入を行うためのきっかけになれば幸いです。

もっと詳しく知りたい方へ

川合さんのセミナー内容をより深く学びたい方は「栄養の力 オンラインアカデミー」をご確認ください。
今回の内容に限らず臓器や細胞、食品やサプリ、様々な慢性不調や疾患の病理などを理解し、予防寛解するための栄養学を学べます。
栄養の力 
https://www.app.lekcha.com/lp/81b1f7b0-5033-47e8-b82c-50da12bc93bf

amino HYDRATE -アミノハイドレート-

ウェビナー内でご紹介したサプリメントです。
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今後のウェビナー情報

2月22日(土) 20:00-21:00
テーマ:Contextual Strength Training
講師:九鬼 靖太(大阪経済大学 人間科学部 准教授)
>>お申し込みはこちら
https://www.performbetter.jp/products/s0092

3月9日(日) 20:00-21:00
テーマ:トレーニングコンセプトに基づくジム設備の選定
講師:近藤 拓人(AZCARE代表,NEXPORT代表)
>>お申し込みはこちら
https://www.performbetter.jp/products/s0094

4月13日(日) 20:00-21:00
テーマ:感覚運動科学の基礎 講師:近藤 拓人(AZCARE代表,NEXPORT代表)
>>お申し込みはこちら
https://www.performbetter.jp/products/s0093

*本ウェビナーは12/15に開催したものと同じ内容になります。

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