今回はジム、トレーニングスペースを作る上で見落とされがちな「施設の天井・壁・床」についてご紹介いたします。
パーソナルジム、スポーツチームのトレーニングルームなど、どんな施設でも重要なポイントですので参考になれば幸いです。
1.天井:最低2800mmの高さが必要
トレーニングを実施するうえで、施設内の天井は最低でも2800mmは確保することが理想です。
スクワットラックやケーブルマシンを有効的に活用したり、両手を挙上した状態でツールを持ったり、プライオメトリクスのトレーニングを実施するのであれば、日本人の平均身長を踏まえると最低限必要な高さだと考えています。
ただ、一般的なマンションやオフィスビルだと2500~2600mm程度の高さが多く、目的に応じたトレーニング種目が提供できないことが多く見受けられます。
その場合には、天井高を確保するために既存の天井を撤去し配管などが露出した状態にするケースもございます。
高さを確保することで、雲梯や懸垂バーなどの設置が可能になり設備の選択肢が拡がるメリットもございます。
建物の構造上や消防法などで天井が抜けないことも多々ありますので、物件契約前のご確認をおすすめいたします。
2.壁:強度や振動、汚れを考慮する
施設内の設備で一番見落とされがちなのが壁です。
用途別に注意すべき点として、以下のものが挙げられます。
壁に手をつくウォールドリル
壁に少し体重をかける程度のウォールドリルであれば強度はさほど心配しなくても問題ないですが、音や振動がジム内や他の階、部屋に伝わってしまう恐れもありますので、近隣のテナントの状況や壁の強度などを事前に確認しておくことをおすすめします。
足の裏を壁につくエクササイズ
ウォールドリルと同様に最低限の強度を確保する必要がありますが、それ以外にも汚れの問題を考慮する必要があります。
施設内を土足禁止にしてもラバーマットからの色移りや、どうしても清掃しきれない床の汚れで靴の裏は意外と汚れていますので、壁に汚れが付いてしまうことが多々あります。
あらかじめ該当のエクササイズを行う壁を汚れが目立ちにくい色、もしくは清掃しやすい素材にするなど施設の空間デザインも考慮したうえで工夫が必要です。
メディシンボールなどのツールを投げるエクササイズ
壁を使ったトレーニングで一番注意が必要なのは、メディシンボールなどのツールを壁に投げるケースです。
壁自体の強度はもちろん必要ですが、建物の躯体への影響や上下階のフロアや横の部屋への影響も考慮しなければなりません。
建物の構造上、不動産会社に確認が取れていれば安心して使用できますが、心配な場合は専用の壁を作ることをおすすめいたします。
建物の壁に影響しないように、衝撃を吸収する材質を埋め込んだ新たな壁を作れば耐久性や騒音の問題も安心です。
また、表面を床材と合わせると内装により一体感を持たせることができます。
3.床:安全面では1番重要
床材については過去にコラムなどでもご紹介しておりますが選択肢もラバーマット、人工芝など複数あり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
気になる方は以下のコラムをご覧ください。
>>床材選びのポイント
トレーニング中の負担や、器具を落とした場合の破損や傷など安全面、メンテナンスの手間を考慮すると1番のおすすめはラバーマットです。
ラバーマットの中でもロール材、パネルタイプ、プラットフォームの設置など目的に応じた選定が必要なためご自身の施設に合わせた仕様をお選びください。
人工芝を設置する場合は、ムーブメントトレーニングやスレッドを使用するトレーニングなど大きく動けることでよりメリットが生まれるため、ある程度の直線、またはスクエアのスペースを確保することをおすすめします。
また、ストレッチエリア用に小スペースで人工芝を選定されるケースもございますが、使用時にはマットを敷くことが多いため、機能面では人工芝にこだわる理由は多くはありません。
掃除機かけ、汗の拭き取り、除菌スプレーなどのメンテナンス面も考慮してご一考ください。
今回は、「天井・壁・床のポイント」をそれぞれお伝えいたしました。
これらはクライアントのパフォーマンスを最大限に高め、トレーナーの知識や技術を余すことなく発揮するためにもぜひこだわっていただきたい点です。
そして本コラムでも繰り返しお伝えしておりますが、施設を作るうえで一番最初に決めておくべきことは「どんな施設か」の前に「どんなサービス(トレーニング)を提供したいか」です。
設備や器具、レイアウトに迷ったら一つの判断基準にしてみてください。
株式会社パフォームベタージャパン