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感覚運動科学とストレングス(近藤 拓人先生)|ウェビナーレポート

セミナー 活動報告
感覚運動科学とストレングス(近藤 拓人先生)|ウェビナーレポート

今回は、先日開催した近藤 拓人先生による無料ウェビナー「感覚運動科学とストレングストレーニング -出力を最大化する感覚入力」の内容の一部をご紹介します。
近藤先生は10/17〜18に開催するパフォームベタージャパンサミット2026にもご登壇いただきますのでご検討中の方はぜひご確認ください。

■テーマ:感覚運動科学とストレングストレーニング -出力を最大化する感覚入力

■開催日:2026年5月5日

■講師:近藤 拓人(AZCARE代表,NEXPORT代表)

トレーニングの全体像(5つのブロック)

トレーニングを単体で捉えるのではなく、5つのブロックを統合してアプローチしています。

・トリートメント:運動しやすい環境づくり
・コレクティブ:動作パターンの是正
・ストレングス:筋機能の向上
・ムーブメント:実環境に近い運動
・エアロビック:持久的能力の向上

それぞれが独立しているのではなく、段階的かつ相互に影響しながら機能する構造として整理されています。

ストレングストレーニング

ストレングストレーニングでは、

・構造的な変化(筋肥大)
・神経的な変化(筋力・パワー)
・競技特異的な変化

といった側面が扱われます。
筋肥大を達成するためには仕事量が必要であり、そのためには外部負荷を用いることが重要とされています。
低負荷で同様の仕事量を確保しようとすると、反復回数が増加し、時間効率やストレスの観点で課題が生じます。

動的安定性と感覚運動システム

ストレングストレーニングに先立ち、動的安定性の獲得が重要とされています。 動的安定性は、

・体性感覚
・視覚
・前庭覚

といった感覚情報を統合し、環境の変化に応じて身体を制御する能力です。
前庭機能が適切に働かない場合、脳は身体が不安定であると判断し、筋緊張を高めることで安定性を確保しようとします。
この状態では過剰な緊張が生じ、運動出力に制限がかかる可能性があります。

下降局面におけるコントロール

スクワット動作において、下降局面(エキセントリック)は上昇局面(コンセントリック)よりも制御が難しいとされています。

下降局面では、

・床反力の低下
・弾性エネルギーの利用
・外力のコントロール

が求められ、筋出力だけでなく複数の要素を統合した制御が必要になります。

ストレングストレーニング前の準備

動的安定性を高めるために、

・呼吸・ピラティスエクササイズ
・ビジョントレーニング
・障害物を用いたムーブメントトレーニング

が用いられます。
ムーブメントトレーニングでは、

・外的焦点
・タイムプレッシャー
・環境の変化

といった条件を設定することで、身体制御を無意識下で発揮できる状態を作ることが重要です。

文脈を考慮したストレングストレーニング(CST)

筋肥大や筋力・パワーの獲得後は、文脈を考慮したストレングストレーニング(CST)へと移行します。

CSTでは、単に筋力を高めるのではなく、競技の中でどのように力を発揮するかという視点でトレーニングを設計します。
例えば、トレーニング初期で重視される「正しい動き(キネマティクス)」から、競技において重要となる「力の伝達(キネティクス)」へと視点を移していきます。

また、競技では筋が伸長された状態で力を発揮する局面(長さー張力関係)が多く、ハムストリングスの肉離れのように、こうした局面への対応が傷害予防にも関わります。

さらに、実際の動作では複数の筋が同時に働く(共収縮)ため、外乱やタイムプレッシャーなどを用いて筋の協働を引き出すことが重要とされています。

こうした要素を踏まえ、外的焦点や環境の変化を組み合わせながら、競技に近い条件での適応を促していきます。

アトラクターの考え方

ストレングストレーニングでは、競技動作そのものを再現するのではなく、競技に必要な共通要素(アトラクター)を抽出し、強化することが重要です。
選手ごとに動作は異なりますが、高いパフォーマンスを発揮する選手には共通する要素が存在します。

Q&A

Q1.リハビリ段階でも競技特異性は考慮すべきですか?

A:
これはかなり重要なポイントで、競技中に実際に起きている負荷っていうのは、やっぱりリハビリの段階から考慮していく必要があります。
例えば伸長位でのアイソメトリック収縮のような局面って、競技では普通に起きているので、そこを全くやらずに復帰してしまうと、再発のリスクは高くなります。
もちろんいきなり高い強度でやるのではなくて、低負荷から段階的に上げていくことが前提になりますが、最終的に競技で起こるストレスに適応させていくという視点は必要になります。

Q2.スキル練習にトレーニング要素を取り入れることについてどう考えますか?

A:
例えば重いバットを使うとか、そういった方法もありますが、基本的にはスキルとトレーニングは分けて考えた方がいいと思います。
スキルコーチはあくまで技術の習得に集中して、ストレングスコーチはその動作に必要な要素、いわゆるアトラクターを高めていく役割になります。
そこが混ざってしまうと、どっちも中途半端になりやすいので、役割を分けた上で最終的にパフォーマンスを上げるという関係性が重要だと考えています。

Q3.高齢者にも障害物を使ったトレーニングは必要ですか?

A:
これは必要だと思っています。
実際の生活って完全に安全な環境ではなくて、段差があったり、人がいたり、いろんな外乱がありますよね。
そういう中で身体をコントロールする能力が重要なので、トレーニングもある程度そういった要素を含めた方がいいです。
もちろん安全性の担保は前提になりますが、ずっと安全な環境だけでやってしまうと、実生活への転移が起きにくくなるという問題があります。

Q4.クローズドスキルでもカオスなトレーニングは必要ですか?

A:
ピッチャーやゴルフのようなクローズドスキルの場合でも、実際には全く同じ動きって毎回できているわけではありません。
そういう意味では、「反復のない反復」という状態が理想で、環境が少しずつ変わる中で対応できる能力はやはり必要になります。
なので、オープンスキルほどではないにしても、ある程度環境の変化を取り入れたトレーニングは有効だと考えています。

Q5.アトラクターを特定する際に意識していることは?

A:
これは見た目ではなくて、パフォーマンスに共通している要素を見ていくことが重要になります。
選手ごとにフォームは違っても、結果を出している選手には必ず共通している部分があるので、そこを抽出する必要があります。
そのためには、競技メカニクスを理解した上で、何が本質なのかを見極めることが大切になります。

Q6.コンセントリックとエキセントリックで意識を分ける方法は有効ですか?

A:
一つのやり方としてはありだと思います。
ただ最終的には、局面ごとに意識を分けるというよりも、全体として力をどう発揮するか、というところが重要になってきます。
その中で外的焦点を使っていく方が、より実際の動作には近づきやすいと考えています。

Q7:エラーはどこまで許容すべきですか?

A:
ここはすごく大事で、全部を修正する必要はありません。
競技にとって絶対に必要な要素、いわゆるアトラクターに関しては修正が必要ですが、それ以外の部分は個体差として許容されます。
なので、何を修正すべきで何を残すべきか、優先順位をつけて判断することが重要になります。

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