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PODACST #007 感覚運動科学とストレングストレーニング ゲスト:近藤拓人さん

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PODACST #007 感覚運動科学とストレングストレーニング ゲスト:近藤拓人さん

ストレングストレーニングに感覚運動科学を掛け合わせると、何が変わるのか。近藤さんが語る「筋出力を脳が決定する」という視点

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パフォームベタージャパンが普段お付き合いしているトレーナーや関係者をお招きして、施設のこと、専門知識、セミナー活動まで幅広くお話を伺うポッドキャスト。


今回はAZCARE代表であり、オンラインアカデミーAZCARE ACADEMYやオンラインサロンPLAZ+、そして日本最大級のパーソナルジムNEXPORTを運営する近藤拓人さんをゲストにお招きしました。

パフォームベタージャパンでは昨年、近藤さんに感覚運動科学の基礎をテーマに計5回のウェビナーにご登壇いただきました。今回はその派生版として「ストレングストレーニングに感覚運動科学をどう活用するか」というテーマで対談しています。近藤さんといえば体性感覚・視覚・前庭覚といった感覚系の話というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、近藤さん自身が「外部負荷を用いたストレングストレーニングは絶対外せないポイント」と言い切るように、この分野は感覚運動科学と切り離せない関係にあります。その接点を解説したのが今回の内容です。


近藤さんについて

近藤さんはAZCAREおよびAZCARE ACADEMYの代表を務め、日本最大級のオンラインアカデミーとオンラインサロンPLAZ+を運営しながら、パーソナルジムNEXPORTも経営しています。専門分野は感覚運動科学で、大学院でもこの分野を学んだ後、現場指導と教育活動を並行して続けてきました。パフォームベタージャパンのウェビナーにはこれまで合計5回登壇しており、今回が6回目となります。


感覚運動科学とは何か——まずおさらい

近藤さんが専門とする感覚運動科学は、「運動の成り立ちを感覚神経系と運動神経系の二つで理解し、現場指導に応用する」分野です。大学時代に徒手療法からボディビルまで幅広く手を出してきた近藤さんが最終的にたどり着いた領域で、「運動指導者にとっての究極の学問」と表現しています。

この分野の面白さは、用途の広さにあります。インプットからアウトプットへのサイクルを評価・介入することで、痛みや不調の改善(リハビリ)にも、体づくりにも、筋力・パワーの向上にも、競技文脈でのパフォーマンス発揮にも活かせると近藤さんは言います。今回はその中でも特に高強度のストレングストレーニングへの応用にフォーカスしています。


近藤さんが提唱する5つのブロック

NEXPORTでもAZCARE ACADEMYでも根幹として据えているのが、近藤さんが「理想の運動療法の形」と呼ぶ5つのブロックです。

  • トリートメント:体の状態を整え、運動しやすい状態をつくる。主に徒手療法や物療を用いたアプローチ。
  • コレクティブ:悪い運動パターンや過活動・低活動の筋を是正する。呼吸エクササイズ、ピラティスエクササイズ、感覚統合エクササイズなどが中心。
  • ストレングス:外部負荷を用いた高強度トレーニング。今回の主題。
  • ムーブメント:コレクティブで整えた動きとストレングスで高めた筋機能を、実生活や競技につなげる総仕上げ。近藤さんは「障害物を使った移動訓練」を最強と表現していた。
  • エアロビック:有酸素運動。

これら5つが有機的につながることで一番いいプログラムが完成するという考え方で、今回のテーマはこの中の「ストレングス」ブロックです。


ストレングスブロックの目的は3つ

感覚運動科学を知った上でストレングストレーニングを処方することの意味を理解するには、まずストレングスブロックが何を目的とするかを整理する必要があります。近藤さんは目的を3つに分けて説明しました。

1つ目は体づくり。絶対的な筋量が足りない状態では大きな筋力やパワーを発揮することは難しいため、まず筋量を増やすことが優先されます。この段階では外部負荷を使ってオールアウトさせていくようなトレーニングが有効です。

2つ目は筋出力(パワー)の向上。これも重量依存性の高い要素であり、ピラティスのような低負荷のエクササイズでは限界があります。外部負荷を使って筋力・パワーを引き上げることが重要です。

3つ目は競技文脈でのパワー発揮。ここがアスリートに特有の目的で、筋量が多く筋力も高いのに競技パフォーマンスに転移できていないケースへの対応です。適切なタイミングと適切なメカニクスでパワーを発揮できることが求められます。

近藤さんは「2つ目と3つ目において、感覚運動科学が特に活きる」と言います。


「筋出力を脳が決定している」という視点

ストレングストレーニングの文脈で感覚運動科学が登場する核心は、ここにあります。

筋出力を決めるのは最初は筋断面積(筋量)です。筋量が多い人ほど筋出力は大きくなる。しかし、ある程度の筋断面積が確保されると、そこから先は神経科学的な側面がすごく大きくなってくると近藤さんは言います。

脳が1秒間にどれだけのアウトプットを出せるか——これが鍵です。筋量が同じでも、脳がたくさんのモーターユニット(筋肉を動かす神経の単位)を同時に使える人と、うまく使えない人では発揮できるパワーが違ってくる。つまり「筋出力は脳が決定している」という見方ができます。

そこで感覚運動科学の出番になります。体性感覚・視覚・前庭覚を評価し、問題があればそこに介入することで、出力が最大化されていく流れをつくれると近藤さんは説明します。ただ重いものを持ち上げる回数を増やすだけではなく、神経系の側面を考察することで、より効率的に筋出力の向上につなげられるという考え方です。


キネマティクスではなく「キネティクス」を再現する

競技特異的なトレーニングをめぐっては、「それなら競技そのものをやればいいんじゃないか」「バットスイングを上げたければバットを振ればいいのでは」という声がよく出るといいます。近藤さんはこの点について丁寧に整理しています。

競技特異的なエクササイズが目指すのは、競技のフォームを模倣することではありません。近藤さんが大切にするのは「競技特異的なキネティクスを再現する」という考え方です。

キネマティクスとキネティクスは異なります。キネマティクスはフォームや動作の軌道といった「どう動いているか」の話であり、キネティクスは力の向きや大きさの往来、つまり「どこにどういう力が発揮されているか」の話です。

例えばバットスイングを最大化するためには、どこにどういう力発揮が求められているかが今大体わかってきているといいます。それを最大化するトレーニングは、必ずしもバットスイングを真似することではありません。むしろそれをやってしまうと、その人がすでに得意なシステムを得意なタイミングで繰り返すだけになってしまい、場合によってはあまり効率的ではないトレーニングになってしまうと近藤さんは言います。

代わりに、「このキネティクスをいろんな姿勢・タイミング・ツールで再現する」トレーニングをすることで、脳がその方向にそのタイミングで出力を出すという運動全般に関する能力が上がっていく。そうして競技の練習の場でそのスキルが最大発揮される、という流れです。「コーチの分野を侵害しているのではなく、むしろコーチの仕事がやりやすくなる」「スキル練習の質が上がる架け橋になるためのトレーニングを伝えている」と近藤さんは言います。


コレクティブとストレングスの境界線はどこか

コレクティブエクササイズとストレングストレーニングの境界線はどこか、という問いについて、近藤さんの答えは明快でした。「そもそも何がコレクティブで何がストレングスかというのは、クライアント側からしたらどうでもいい話」であり、「我々が運動の理解を深めるためにカテゴリー分けしているだけ」というものです。

例えばピラティスエクササイズは、筋機能が低い人にとっては筋トレの要素を多分に含みます。一方で運動能力の高い人にとっては負荷が少なすぎ、パワー向上は望めない。素材によって調理法が変わるのと同じで、クライアントの状態によって介入を変えなければならないというのが近藤さんの一貫したスタンスです。

最終的にクライアントが満足してくれる、痛みがなくなる、不調がなくなる、体がかっこよくなる、パフォーマンスが上がっていく——そこに最大効率でつなげるためのステップがこれらのブロックであるという整理です。


絶えず更新され続ける知識

近藤さんは自身をオタクと表現し、「3年前の内容はもう覚えていない」と笑って話していました。それだけ日々勉強し、内容を刷新し続けているということで、現地の講習も半年変われば内容が刷新されることもあるといいます。

過去にオンラインサロンで公開したストレングストレーニングの講座も、現時点ではだいぶアップデートされていると本人が言っています。一度学んだことがある方にとっても、改めて受け直す価値があるという示唆です。


おわりに

感覚神経系と運動神経系の理解を現場指導に応用するという感覚運動科学の考え方は、リハビリから体づくり、競技パフォーマンスまで幅広く活用できます。その中でも今回フォーカスされたのは、ストレングストレーニングというトレーナーの基本的な武器に、この視点を掛け合わせることで何が変わるかという問いでした。

近藤さんへの質問、または今後取り上げてほしいテーマがあれば、パフォームベタージャパンまでお気軽にお問い合わせください。

エピソードのフル版(対談すべて)はこちらからお聴きいただけます:エピソードを聴く


補足:記事内に登場する「CST」はContextual Strength Training(コンテクスチュアル・ストレングス・トレーニング)の略称で、AZCARE ACADEMYが提供するプログラムです。運動制御理論・運動学習理論・競技特異性などの知見を従来のストレングストレーニングに加え、アスリートの競技力向上に特化したアプローチを学ぶカリキュラムです。

詳細はこちらをご覧ください:Contextual Strength Training(CST)

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