今回は、先日開催した川合 智先生による無料ウェビナー「自律神経評価とレジリエンスを養うための栄養と運動」の内容の一部をご紹介します。
川合先生は10/17〜18に開催するパフォームベタージャパンサミット2026にもご登壇いただきますのでご検討中の方はぜひご確認ください。
■テーマ:自律神経評価とレジリエンスを養うための栄養と運動
■開催日:2026年7月3日
■講師:川合 智 (日本統合療法株式会社 代表取締役)
レジリエンスを支える「自律神経」の役割

レジリエンスとは、ストレスや負荷を受けても適応し、回復しながら再び高いパフォーマンスを発揮する力のことです。
アスリートだけでなく、日々忙しく働くビジネスパーソンや健康づくりを目的とする方にとっても重要な考え方です。
その鍵となるのが、自律神経の働きです。
自律神経を「アクセル(交感神経)」と「ブレーキ(副交感神経)」に例えながら説明いただきました。
活動するためにはアクセルが必要ですが、安全に走り続けるためにはブレーキも欠かせません。
私たちの身体も同様に、交感神経と副交感神経が適切なバランスで働くことで、運動や仕事のパフォーマンスだけでなく、疲労からの回復もスムーズに行われます。
「どれだけ頑張れるか」だけではなく、「どれだけ回復できるか」がレジリエンスを高める上で重要です。
自律神経は「評価」できる時代へ
自律神経は感覚だけで判断するものではなく、HRV(心拍変動)を用いて客観的に評価できます。
近年ではApple WatchやOura RingなどのウェアラブルデバイスでもHRVを確認できるようになり、日々のコンディションを把握しやすくなっています。
また、専用機器を活用することで、自律神経の状態や回復力をより詳細に評価し、一人ひとりの状態に応じた介入方法を検討することも可能です。
「何となく疲れている」という感覚だけに頼るのではなく、客観的な指標を活用することで、より適切なコンディショニングにつなげることができます。
レジリエンスを高めるために大切なこと

自律神経を整えるために重要なのは、いきなり運動量を増やすことではありません。
食事 → 睡眠 → 生活習慣 → 運動
という順番で土台を整えることが重要性です。
慢性的な疲労を抱える方では、まず「回復できる身体」をつくることが最優先になります。
その上で、自律神経の状態に合わせて運動を取り入れていくことで、より良いコンディションづくりやパフォーマンス向上につながります。
また、睡眠不足や慢性的なストレス、栄養状態の乱れ、スマートフォンの長時間利用など、日常生活のさまざまな要因が自律神経に影響することあります。
特別な方法を取り入れる前に、まずは毎日の生活習慣を見直すことが、自律神経を整え、レジリエンスを高める第一歩になります。
サミットでは評価から介入までをより実践的に学ぶ
今回のプレウェビナーでは、自律神経評価の考え方やレジリエンスを高めるための全体像についてご紹介いただきました。
パフォームベタージャパンサミット2026当日は、HRVの評価方法や、自律神経の状態に応じた栄養・運動プログラムの組み立て方、慢性疲労や慢性痛へのアプローチなど、現場で実践できる内容についてさらに詳しく解説いただく予定です。
Q&A
ウェビナー当日は多くのご質問をいただきました。
ここでは、当日会場で寄せられた質問の中から、一部をご紹介します。
なお、時間の都合上お答えできなかったご質問については、後日公開したPERFORM BETTER JAPAN Podcastにて川合さんに詳しくご回答いただいています。
ぜひあわせてご視聴ください。
Q1.休息日が十分に確保できない連戦のアスリートや、多忙なビジネスマンの場合、1日の中で効果的に休養を取る方法はありますか?運動や栄養の観点から教えてください。
A:
休息日を十分に確保できない方は多くいらっしゃいます。
そのような場合は、「完璧」を目指すのではなく、「より良い状態(Better)」を積み重ねることが大切です。
実際の指導では、まずスマートフォンを見る時間を減らすことをご提案するケースが多くあります。
情報量が減ることで脳が休まりやすくなり、読書やストレッチなど、リラックスできる時間が自然と増えていきます。
その結果、自律神経にも良い変化が見られる方が多くいらっしゃいます。
栄養面では、まず1日3食をしっかり食べること、そして睡眠時間を少しでも確保することが基本です。
忙しい方ほど特別なことを始めるより、生活習慣の土台を整えることが結果的に大きな効果につながります。
Q2.自律神経を測定すると、本人の主観と測定結果に乖離があることがあります。過去の事例や改善方法があれば教えてください。
A:
実際にそのようなケースは少なくありません。
長期間ストレス状態が続いている方は、その状態が「普通」になってしまい、ご本人は不調を感じていないことがあります。
そのため、自律神経を測定することで、初めて現在の状態を客観的に把握できるケースがあります。
そのような方には、まず副交感神経がしっかり働き、回復できる身体をつくることを優先します。食事・睡眠・生活習慣を整えたうえで、段階的に運動を取り入れていくことが大切です。
「頑張ること」を増やすのではなく、「回復できる状態」を整えることが改善への第一歩になります。
Q3.HRVを低下させる要因を改善した場合、最短で効果が出たケースはありますか?
A:
比較的変化が早く現れやすいのは、睡眠不足の改善やアルコール摂取を控えることです。
個人差はありますが、数日程度で体調の変化を実感される方も多く、HRVの改善が確認できるケースがあります。
また、機能性低血糖が起きている方でも、十分な睡眠時間を確保することで血糖変動が改善するケースがあります。
生活習慣を見直すことは、自律神経を整える最も基本的で効果的な取り組みの一つです。
Q4.川合さんは運動指導をする際、ほとんどの方に自律神経を測定しますか?全員ではない場合、何か基準がありますか?
A:
私の施設では、特に慢性疲労や慢性痛、不調を訴える方、また競技パフォーマンスを高いレベルで維持したいアスリートには積極的に自律神経を評価しています。
現在の状態が分かることで、食事・睡眠・生活習慣・運動の優先順位を整理しやすくなり、その方に合ったプログラムを組み立てやすくなります。
一方で、Apple WatchやOura RingなどのウェアラブルデバイスでもHRVを確認できます。
日々のコンディションを把握するという意味では、こうしたデバイスを活用することも十分有効だと考えています。
Q5.HRVや睡眠だけを考えた場合、アスリートでも同じ入浴時間が推奨されますか?
A:
基本的な考え方はアスリートでも同じです。
ただし、競技レベルやトレーニング量、自律神経の状態によって最適な方法は変わります。
自律神経機能が十分に保たれているアスリートであれば、サウナや入浴をコンディショニングの一つとして活用できるケースもあります。
一方で、自律神経機能が低下している状態では、長時間の高温浴やサウナがかえって身体への負担になることもあります。
そのため、「アスリートだから長く入る」のではなく、自律神経の状態や回復力に合わせて、入浴時間や温度を調整することが大切です。
Podcastでもさらに詳しく
今回ご紹介したQ&A以外にも、ウェビナーでは時間の都合上お答えできなかったご質問について、PERFORM BETTER JAPAN Podcastで川合さんに詳しくご回答いただいています。
現場でのコンディショニングや運動指導に役立つ実践的な考え方についてもお話しいただいていますので、ぜひPodcastもあわせてご視聴ください。
Podcastはこちらから
