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【シリーズ最終回】感覚運動科学の基礎(近藤 拓人先生)|ウェビナーレポート

セミナー 活動報告
【シリーズ最終回】感覚運動科学の基礎(近藤 拓人先生)|ウェビナーレポート

今回は、先日開催した近藤 拓人先生による無料ウェビナー「感覚運動科学の基礎」の内容の一部をご紹介します。
本テーマはこれまで4回開催してきた人気シリーズで、今回がシリーズ最終回となります。
これまでのレポートよりもより詳しくまとめますので是非最後までご確認ください。

■テーマ:感覚運動科学の基礎

■開催日:2026年2月11日

■講師:近藤 拓人(AZCARE代表,NEXPORT代表)

運動療法を整理する4つの領域

運動を考える際には、まず運動の強度や目的によって領域を整理しておく必要があります。
講義では、運動を大きく次の4つの領域に分けて捉えていました。

・低域値(低強度の動作)
・中域値(跳ぶ・投げるなど多様な運動)
・広域値(筋力トレーニング)
・競技特異的動作

日常生活の動きからスポーツパフォーマンスまでを考えると、これらの領域すべてにアプローチできる環境が理想になります。

運動療法を構成する5つのブロック

実際の運動指導では、次の5つのブロックを組み合わせながらプログラムを構成していきます。

トリートメント

慢性的な痛みを抱えるクライアントの場合、組織の損傷そのものよりも

・その部位を使うことへの恐怖
・過度な防御反応

といった要素が影響していることがあります。
そのため、最初の段階では身体を動かすことへの不安を取り除き、運動に移行しやすい状態を作ることが重要になります。

コレクティブ(是正)

次の段階では、低強度の運動制御を学習していきます。
ここで有効な手段の一つがピラティスエクササイズです。 ピラティスマシンのスプリングは動作の開始時に負荷が小さく、後半で負荷が大きくなるという特性があります。
この環境では、過緊張があるクライアントでも無理なく動作を学習することができます。

ストレングス

身体の基本的な能力を高めるために、筋量・筋力・パワーを向上させる段階です。
ダンベル、バーベル、メディシンボールなどを用いながら、筋機能を高めていきます。
また競技者の場合は、競技動作に近い方向への力発揮を意識したトレーニングも重要になります。

ムーブメント

実際の生活やスポーツでは、同じ動作を繰り返す場面はほとんどありません。
毎回異なる環境の中で動きを調整する能力が求められます。
そこで有効になるのが、障害物などを利用した移動トレーニングです。
このような環境では

・環境の変化
・時間的制約
・外部への注意

といった要素が自然に生まれ、実際の動作に近い運動学習が行えます。

エアロビック

有酸素運動は非常に研究が進んでいる分野です。
基本的には20〜30分程度の低強度の有酸素運動を継続することが推奨されていました。

感覚運動システムを理解する

運動は次の流れで成立します。

感覚入力→ 脳内処理→ 運動出力

感覚入力の中心となるのが「体性感覚」「視覚」「前庭覚」の3つです。
多くの指導現場ではフォームなどの「アウトプット」を修正しようとします。
しかし、アウトプットが崩れる背景には、感覚入力の問題が隠れている場合があります。
そのため、動作を修正する前に感覚入力の状態を評価する視点を持つことが重要になります。

感覚システムへのアプローチ

体性感覚

体性感覚を高める方法の一つが、筋収縮の感覚を入力するエクササイズです。
例えばヒップリフトなどの運動では

・腹筋
・ハムストリングス
・内転筋

などの収縮感を得ることができます。
このような感覚入力を通して、身体の位置や動きを脳が理解しやすくなります。

視覚

視覚機能を考える際には、眼球運動も重要な要素になります。
主な眼球運動には

・輻輳/開散(寄り目・離し目)
・追従運動(スムーズパシュート)
・高速眼球運動(サッケード)

があります。
これらの機能が低下すると、運動制御にも影響が出る可能性があります。

前庭覚

前庭系は、頭の回転や加速を感知する感覚器です。
頭部回旋やローリング動作などの運動を通して前庭系に刺激を与えることで、バランス能力や姿勢制御の改善につながります。

Q&A

Q1.その場で連続ジャンプができない子はこのような感覚運動にも影響してくると思いますが、どのようなアプローチが有効ですか?

A:
まずは、感覚入力の状態を確認していきます。
これらの感覚システムを通して、自分の身体の位置や環境を理解しています。
そのため、この部分がうまく機能していない場合、動作そのものがうまく成立しないことがあります。
それぞれの感覚入力の状態を確認しなががら、必要に応じてアプローチを行なっていきます。

Q2.トリートメントからエアロビックまでをできることが理想の施設だと思いますが、パーソナルジムにおいて全てを提供できる設備を揃えることは現実的ではない気がします。施設のコンセプトにもよると思いますが、近藤さんが施設を出す上で限られたスペースにおいて優先すべきブロック、優先度が比較的低いブロックはありますか?

A:
理想としては、トリートメントからエアロビックまでのすべてのブロックを提供できる環境を作ることが重要になります。
パーソナルジムではスペースの制約がある場合もありますが、工夫次第でそれぞれの要素を取り入れることは可能です。
一部の要素だけに特化するよりも、包括的に運動療法を提供できる環境の方がクライアントの成果につながりやすくなります。

Q3.パーソナルジムがピラティスを導入する際に優先するマシンは何になりますか?

A:
ピラティスマシンにはそれぞれ役割や特徴があります。
チェア、リフォーマー、タワーなどそれぞれできることが異なるため、本来は複数のマシンを組み合わせることで対応できるエクササイズの幅が広がります。
どのマシンを優先するかは施設の環境や指導内容によって変わるため、実際にエクササイズを体験しながら選択していくことが重要になります。

Q4.ムーブメントブロックの運動はキッズトレーニングで主に提供していました。高齢者にもレベルを変えて安全性を担保した上で提供すべきと考えられていますか?

A:
安全性を確保したうえであれば、ムーブメントトレーニングは年齢に関係なく活用することができます。
環境の変化に適応しながら身体を動かす能力は、日常生活にも関わる重要な能力です。 そのため、高齢者の場合でも難易度を調整しながら取り入れていくことが可能です。

Q5.近藤さんのジムでは全てのクライアントにインプットの評価をしていますか?もしくは特に不調がない場合は細かい評価は飛ばしますか?

A:
まずはマットエクササイズなどを通して体性感覚の状態を確認していきます。
体性感覚の中には

・筋収縮の感覚
・関節のコントロール
・身体の位置感覚

などさまざまな要素が含まれています。
これらをエクササイズの中で確認し、問題があればマシンエクササイズなどを活用してアプローチしていきます。
視覚や前庭覚については、主訴との関連が考えられる場合に評価を行います。

Q6.アスリートのトレーニングを見ていくときに視覚、前庭角、体性感覚の中で特にアプローチすることが多いのはどの部分でしょうか?

A:
まず体性感覚へのアプローチを行うことが多くなります。
体性感覚は運動制御の基盤となるため、基本的にはすべてのクライアントにとって重要な要素になります。
そのうえで体性感覚の評価を進めていく中で、視覚や前庭覚との関連が見えてくる場合があります。
その場合には、それぞれの感覚システムに対するアプローチも行っていきます。

まとめ

動作は結果として現れるアウトプットであり、その前段階には必ず感覚入力があります。
体性感覚、視覚、前庭覚といった感覚システムを理解することで

・リハビリテーション
・コンディショニング
・パフォーマンス向上

などさまざまな場面で、運動指導の視点を広げることができます。
今回のウェビナーで紹介された考え方を、日々の指導の中での視点の一つとして活用していただければ幸いです。

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