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ジムを超えた地域コミュニティの創出を -自然豊かな逗子で家族と描く未来- (倉田 勇樹さん)

Trainer's Journey
ジムを超えた地域コミュニティの創出を -自然豊かな逗子で家族と描く未来- (倉田 勇樹さん)

Trainer's Journeyと題し、スタートしたシリーズ企画。
この企画では、精力的に活動されている若手・中堅トレーナーの皆さまにお話を伺い、それぞれが大切にしている指導の理念や、その考えに至った背景、今後の挑戦について深掘りしていきます。
第4弾は、神奈川県逗子市で新たにパーソナルジム「YOUTRAL(ユートラル)」を開業し、オンラインサロン、SNSでも活躍中の倉田 勇樹(くらた ゆうき)さんにお話を伺いました。

|29歳で脱サラして、トレーナーの道へ

ーこれまでの経歴と現在のお仕事について簡単に教えてください。

大学まで柔道を続けていたのですが、卒業後は柔道を通して学んだことをビジネスの世界でも活かしたいと思い、一般企業で営業職として勤務していました。
周りは警察官や消防士などの公務員、もしくは柔道選手として実業団に入る人が多かったので、かなり珍しい進路だったと思います。
7年間勤務し仕事の手応えもそれなりに感じていたものの、30歳目前のタイミングで「このままこの仕事を続けるのか?」と悩んだ結果、現在のトレーナーの道に進むことを決めました。その後はフィットネスクラブやパーソナルトレーニングジムで経験を積み、現在の独立に至ります。
現在は、自宅のある逗子市でパーソナルジム「YOUTRAL」を運営しています。
11月にオープンしたばかりで、まだ1か月も経っていませんが、どんなお客様が来ても対応できる施設にしたくて、ピラティスマシンを取り入れたり、トレーニングの設備以外にもパルクールのようなダイナミックな動きもできるスペースを確保しました。
お客様は女性の方が多く、ピラティスや機能的なトレーニングを希望される方が多いですね。

ートレーナーはいつ頃から目指されていたんですか?

きっかけは、サラリーマン時代に会社として柔道の大会に出場する機会をいただいたことです。その時、大会に向けて会社がパーソナルトレーナーをつけてくれて。
それまでパーソナルトレーナーと接する機会はなかったのですが、そのとき初めて「トレーナーという職業が成立している」ことを知りました。
同時に「これなら自分もできるかもしれない」と思い、トレーナーとしての道を考えるようになりました。
また、大学時代に柔道のオリンピック金メダリスト石井慧選手と共同生活を行い、トップアスリートのトレーニングや栄養について学んだ経験もトレーナーの道を目指そうと思った理由のひとつですね。

|クライアントの「主体的な学び」を尊重した指導

普段のトレーニング指導についてもう少し詳しく教えてください。

YOUTRALでは、ピラティスマシンを活用して、姿勢改善や筋力トレーニングだけでなく、体の機能性を高めるプログラムを提供しています。
せっかく逗子に施設を出したので、今後はジムの安定した環境で体を動かすだけでなく、自然の中で体をうまく扱える状態に導くことも目指しています。
海や山が近いので、ジムのトレーニングからさらに一歩進んで、自然の中で体を動かす楽しさを提供できたらと思っています。

ーアプローチで意識していることはありますか?

「クライアントの主体性を引き出すこと」を最も大切にしています。
たとえば、スクワットを教える際、解剖学やバイオメカニクス的に「正しいフォーム」があるのは事実ですが、それをただ押し付けるだけでは、クライアントが主体的に学ぶことにはつながらないと思っています。
クライアント一人ひとりに、これまでの経験や得てきた知識を元に持っている特性や感覚があるので、まずは「なぜその動きをしているのか」「その動きがどんなふうに感じられるのか」を対話しながら確認していきます。
たとえば、「足の裏のどこに重心を感じているか」「膝の動きはどう感じるか」といった具体的な質問をしながら、クライアント自身に気づきを促すようにしています。
さらに、クライアントが誤った動きをしている場合でも、「それは間違いです」とただ指摘するのではなく、その動きの背景にある考え方や学んできた情報を私が理解した上で、「どっちがやりやすいですか?」「この動かし方はどうですか?」などと提案していきます。
こうした対話を重ねることで、クライアント自身が「こうした方がやりやすい」と気づき、主体的に正しいフォームを選べるようになります。
この過程では、トレーナーとしての知識やエビデンスに固執するのではなく、クライアント自身の発見を引き出していくことを大事にしています。
クライアントが主体的に動き、ご自身で気づきを見つけることはすごく大事だと思います。スクワットに限らず、様々な動作の主体的な発見はその経験自体が人生のさまざまな面において大きなインパクトを与えるものと考えています。

過去からの学び、そしてコロナ禍での苦労と転機

ー前職での7年間のサラリーマン経験は今の指導に活きていますか?

そうですね、一番活きているのは「コミュニケーション力」だと思います。
先ほどお話ししたスクワットの例にもつながりますが、相手の話をしっかり聞いて、希望を引き出すことが、トレーナーとしての成果に直結するなと感じています。ただ指導するだけじゃなく、「どうしたらこの人が前向きにトレーニングに取り組めるか」を常に考えています。その姿勢でサービスを提供することは、前職で学んだことがベースになっているなと思いますね。

ーこれまでに苦労したことや乗り越えたきっかけなどあれば教えてください。

トレーナーの初期は業務委託契約だったため、収入が不安定でした。
さらに、コロナ禍ではアルバイトをさせてもらっていたフィットネスクラブが営業停止になり、クラブからの報酬がゼロに。
これをきっかけに「フィットネスクラブはもう辞めよう」と決心がつきました。元々、これ以上フィットネスクラブで働き続けることに限界も感じてたので、本当の意味でパーソナルトレーニングを仕事にしていかないといけないって気持ちになりました。
そのタイミングで、ちょうど業務委託で働かせてもらっていたパーソナルトレーニングジムのメンバーと一緒にオンラインサロンを立ち上げることになりました。
当時は自宅でZoomを使ってレッスンを提供するジムや、トレーニング関連のオンラインサロンがちょっとずつ出てきていて、私たちが立ち上げたサロンも幸いなことにうまくいったんです。
そのオンラインサロンは、それなりの固定収入につながりましたし、サロンで知り合った方がジムに足を運んでくれるようにもなりました。
そこから、仕事が少しずつうまく回り始めた手応えを感じることができましたね。

|逗子での暮らしと日々のインプット

ートレーナーとしての業務で1日中お忙しいと思いますが、普段はどのように過ごされていますか?

そうですね、日課にしているのは毎朝の妻と犬のこまちとの散歩です。
暑い時期なんかは朝5時に出発して、1時間ほど散歩を楽しんでいます。
その後、朝ごはんを食べてからジムに行き、セッションに集中。だいたい20時か21時くらいには終わるスケジュールです。
ジムは自宅から徒歩10分圏内なので、空いた時間に家に帰って夕方の散歩をしたり、家族と食事をすることもあります。
また、現在も週に2回は前職のジムにも出勤しています。逗子から電車で1時間ほどかかりますが、始発駅なので座れるのが助かっています。
その時間を使って本を読んだり、移動を学びの時間として活用しています。

ー インプット方法についてご自身で工夫されていることはありますか?

日々のインプットはオンライン学習が中心で、特にPLAZ+やAZCARE ACADEMYを活用しています。オンラインなので、自分のペースで学べるのがいいですね。
また、現地講習ではこれまで考えたことがなかったような新しい視点を得られるセミナーに積極的に参加しています。
たとえば最近では、A-Yogaを受講したのですが「クライアントとの対話を重視したアプローチ」を学ぶことができ、日々の指導にも大きな影響を与えてくれています。

|今後の目指す姿

ー憧れのトレーナー像はありますか?

私が理想とするトレーナー像は、「家族との時間を大切にしながらも、仕事でしっかりと成果を出せるバランスを実現すること」です。この目標のきっかけとなったのが、前職の施設代表である久野との出会いです。
久野は、家族との時間を大切にしながらもトレーナーとして成功されている姿を見せてくれました。
当時、トレーナーという職業で安定した生活が送れるのか、家族をちゃんと養えるのかと不安だった私にとって、大きな影響を与えてくれました。私の周りには、家族や自分の時間を極限まで削って仕事に打ち込んで成果を出してるトレーナーがたくさんいます。
その情熱や成果を出す姿勢に憧れる部分もありますが、業界全体を考えるとやっぱり家族の時間は大切にしつつ、でも仕事でもしっかりと成果を出すという働き方が広がらないいけない。
そうしないとトレーナーが増えていかないと思うんです。
私はこのトレーナーという職業、パーソナルトレーニングやフィットネスというものが、もっともっと世の中に広まってほしい。
そのためには、トレーニングが良いものだと1人1人にしっかりと伝えていくと同時に、提供する側のトレーナーも増えなければなりません。そう考えると、みんながみんな仕事に全てを注ぐことができる訳ではないので、トレーナーという職業も人生の時間全てを捧げる覚悟を持たずとも成果が出せるものであるべきだと思います。
私が目指すのは、家族や自分の時間を大切にしながらも、クライアントに質の高い指導を提供できるトレーナーです。
これを実現することで、トレーニングを通じて多くの人がハッピーになり、業界全体がより良い方向に進むと信じています。

ーチャレンジしたいことや目指すべき姿はありますか?

今後の大きな目標は、逗子で「ジムを拠点としたコミュニティ」を形成することです。ジムを単なるトレーニングの場ではなく、地域の人々がつながり、交流できる場としたいと思っています。
その一環として、ジムの休みの日を利用して月に1回程度、会員さんや地域の方々が一緒に楽しめるアウトドアイベントを企画しています。
たとえば、午前中にジムで軽いトレーニングを行った後、逗子の自然を楽しむハイキングをしたり、海辺を散策したり。
運動後には、参加者同士が集まって食事をしたり、地元の魅力を共有したりする機会も作りたいですね。
逗子には海も山もあり、この自然の豊かさが他の地域にはない大きな魅力です。私も逗子に移住してすっかり虜になりました。
この環境を最大限に活かし、ジムに通っていない方々にも地域のつながり感じてもらいたいと思っています。
実際、すでにオンラインでつながりのあった方が逗子への移住を検討されていたりと「ジムをきっかけに地域のコミュニティを形成する」という目標に向けて少しずつ動き始めています。
この取り組みを通じて、私の好きな逗子の魅力がより多くの人に伝わり、ジムを中心とした地域のファンをふやしていきたいです。

ートレーナーという職業を通して地域や社会に貢献する素晴らしい目標だと感じました。インタビューへご協力いただきありがとうございました。

|プロフィール

倉田 勇樹 (くらたゆうき)(35歳)

パーソナルトレーニングジムの運営とオンラインサロン「フローストレッチ」を展開し、姿勢、身体機能を改善するエクササイズを発信する自身のXフォロワーは1.8万人以上。
高校、大学と柔道に打ち込み大学時代は金メダリストのサポートも経験。大学卒業後にメーカーで営業職を7年経験したのち、パーソナルトレーナーに転職。
フィットネスクラブのアルバイトを経て、フリーランスのトレーナーとしてパーソナルジムでボディメイクを中心に運動指導し、2024年11月にはピラティス&パーソナルトレーニングジム「YOUTRAL(ユートラル)」を神奈川県逗子市にオープン。

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