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日本人の健康寿命を100歳へ-リアル・デジタルの双方向から目指す理想の社会 (高尾 勇斗さん)

Trainer's Journey
日本人の健康寿命を100歳へ-リアル・デジタルの双方向から目指す理想の社会 (高尾 勇斗さん)

Trainer's Journeyと題し、新たにスタートしたシリーズ企画。
この企画では、精力的に活動されている若手・中堅トレーナーの皆さまにお話を伺い、それぞれが大切にしている指導の理念や、その考えに至った背景、今後の挑戦について深掘りしていきます。
第3弾は、SNSやオンラインサロンで「ユウトレ」として大活躍され、2024年には東京都内にご自身の施設「NewAns(ニュアンス)西新宿」を出店し、リアル・デジタル領域の双方で運動指導のサービスを提供している高尾勇斗(たかお ゆうと)さんにお話をお伺いしました。

|安定志向の公務員から夢を追い、トレーナーの道へ

ーこれまでの経歴と現在のお仕事について簡単に教えてください。

大学卒業後、大手パーソナルジムに入社。
その後、フリーランスのトレーナー・ピラティストレーナーとして活動を始め、現在はオンラインサロンや今年の4月にオープンした施設「NewAns(ニュアンス)西新宿」の運営を行っています。
また「ユウトレ」として、主に女性をターゲットにSNSでの発信や書籍の執筆も行なっています。

ートレーナーはいつ頃から目指されていたんですか?

元々は安定志向が強く、公務員になろうとしていました。
学生時代は陸上部に所属し体を動かすことが好きだったので、体力が強みになるであろう警察や消防を目指していたんです。
ですが、高校3年生のときに受験するもすべて不合格になってしまい意図せず大学に進学しました。
諦めきれず公務員専門の予備校に通い、大学4年生の時に公務員試験にようやく合格したのですが、トレーナーという仕事にずっと興味があり卒業後の進路に迷いが生じました。
自分で出した結論は、3年ほど公務員として働き、お金を貯めた後にトレーナーとして活動し始めるということでした。
夢であったトレーナーは、公務員と比べると平均年収や安定感に不安を覚えたので、先に公務員になろうと考えていました。
ただ、そのことを今も一緒に仕事をしている仲間に相談したところ「トレーナーという夢があるのに、遠回りするのは勿体無い。好きなことを仕事にできる環境なのだから、若いうちにチャレンジした方がいい。公務員は後からまた挑戦できる。」と言われハッとし、申し訳ないのですが、公務員の内定を辞退しました。
そこからパーソナルトレーニングジムの面接を受けて、トレーナーの道へ進みました。

ー公務員の道を捨ててまで志したトレーナーを目指すキッカケを教えてください。

キッカケは、大学生のときに受けたパーソナルトレーニングの体験です。

独学で筋トレを頑張っていたのですが、成長を実感できずに伸び悩む時期がありました。
当時は学生だったので金銭的余裕がなかったのですが、なけなしのお金(苦笑)で、とあるパーソナルトレーナーの方に教えていただきました。
スクワット一つの動きでもバーの持ち方、立ち方、腹圧など非常に細かく教えてくださり、そのアドバイスをもとに運動すると、みるみる体にいい変化が生まれていったんです。
「トレーナーってなんて素晴らしい仕事なんだ!」と身をもって体感しましたし、その時の感動は今でも忘れられません。
そのような良いキッカケ作りができるトレーナーでありたいと考えるようにもなりました。

ー高尾さんといえば「ユウトレ」のイメージが強いのですが、一般向けの動画配信を始めたキッカケを教えてください。

 まず、SNSではユウトレという名前で活動しているのですが、名前の「勇斗(ユウト)」と「トレーニング」を組み合わせています。
トレーナーになるべくしてなったような名前なのだと、今となっては思います。
両親に感謝です。
最初はコロナが流行り始めた頃にXで発信していて、その後にYouTubeを始めました。
今でこそ女性に向けたような情報がメインですが、実は元々は男性向けに発信していました。
当初はフィジーク(総合的な筋肉美を競うカテゴリー)で世界大会に出ていた方の元で働いていました。
その方が憧れで、自分自身も筋トレに力を入れていたので発信内容は「体を大きくさせる筋トレ」がメインでした。
しかし、その方を見ていると「明らかな才能」を感じるのです。
もちろん、積み重ねた努力が身体にあらわれているのですが、当時の私は「身体の大きさや骨格の差」に敗北感を覚えました。
迫力のある筋肉美が評価されるこの分野では戦えないと実感。
そうなると、私が発信できることはなんだろう?と考えたときに「簡単さ」を追求することを決めました。
当時は、今のように短時間で簡単にできるトレーニング動画があまりなく、多くは解説メインのものでした。
「これだ!」とひらめき「時短でわかりやすく」を心がけた動画投稿を続けていくうちに「ユウトレ」という名前も自然と広まっていきました。

|女性をメインに、あらゆる角度から徹底アプローチ

ー普段のトレーニング指導について詳しく教えてください。

ジムに通っていただいているお客様の9割以上は女性の方で、20代〜70代と、幅広い年齢層の方にお越しいただいています。
また、男性のお客様からもお問い合わせをいただくことがありますが、もちろん入会可能です。
初回はカウンセリングとインボディによる体組成の測定、コンディビューを使った自律神経のチェックをします。
これらを行う理由はお客様の現在地を知るためです。
例えば、体脂肪率が30%を超えていて自律神経の数値が低い場合、体は疲労度が高い可能性があります。
その状態で激しいトレーニングをしても逆効果になるので、初回のカウンセリングで何から始めるべきか見極めます。
次に、ピラティスマシンを使って、体の可動性を広げ、正しいフォームを学び、体の使い方を改善していきます。
今まで使えていなかった筋肉・関節・骨が動くようになり、インナーマッスルが鍛えられ、体の左右差の改善や、動かし方が変わります。
元々はピラティスマシンのない環境で運動指導をしていたのですが、身体がガチッと緊張して思った通りに体を動かすことができないお客様が多いなと思っていました。
近藤拓人さん含むさまざまな方から学び始めて、最初は身体をリラックスさせることが大事なのだと気がついて、指導にピラティスを取り入れるようになりました。
体が整えられたら最後にトレーニングを行います。
人の体はもともと多種多様な動きができるのですが、慢性的な運動不足、スマートフォンやパソコンの酷使、大人になり自由に食べ物にアクセスできることからの体重増加などで、本来持っている能力が失われつつあります。
だからこそ反り腰・猫背・ストレートネック、筋力の低下、肩こり、腰痛などの体の不調を抱えてしまいます。
それらを解決するために、本来持っている能力をよみがえらせるアプローチをします。
例えば、重いものを持ってしゃがむ、ぶら下がる、凸凹な床を歩く、ジャンプ(縄跳び)、ボールを勢いよく投げるなど、日常生活ではあまり経験しない(しなくなっている)トレーニングです。
体の不調を改善し、バランスが整った状態でトレーニングを行うことで適切に筋肉が鍛えられ、ウエストの引き締め、お尻のたるみ改善、引き締まった背中といった、自分の理想のボディメイクができると思っています。

— ご自身の施設のコンセプトやこだわりについてもお聞かせください。

ジムの内装は、木から感じるぬくもりや優しさを大切にしていて、デザイナーの方や仲間、トレーナーの先輩方と相談しながら作り上げた自慢のジムです。
室内にはグリーンやお花を散りばめ、フローラルな香りや柑橘系のアロマを取り入れたおしゃれで心地よい空間を提供しています。
更衣室内にあるボディーシートはアユーラのもの。森林浴をしている気分になれる香りで、ジムの雰囲気にもピッタリ。(私のお気に入りのブランドです)
そして、床材は最高級なものを。
トレーニング業界でも人気の床材をパフォームベタージャパンさんから購入しました。
床と足は唯一、接地している部分なので非常に重要。質の悪い床材だと、お客様の体に負担が生じ、長時間働くトレーナーにも悪影響が出ます。
またジムといえば、やはりラックやベンチ台。
ピラティススタジオではなく「ジム」として推したかったので、導入したかったのですが、ブラックカラーのものがほとんどで、ジムの雰囲気には合いませんでした。
そこでパフォームベタージャパンさんに相談したところ、海外からホワイトカラーのラックとベンチ台を輸入することができました。
せっかく高いお金を払っていただき、お客様がいらっしゃるので空間づくりにもこだわっています。
「ジムらしくない、まるでカフェのような空間ですね」とお客様にも言っていただくことが多いです。
通っていただく方々は運動初心者であることが多いので、ピラティスマシンを採用しています。
海外では、ご高齢の方がスムーズな歩行をするための練習や筋力が衰えないためにピラティスマシンを用いて運動する光景が多くみられます。
それほどハードルが低いです。
また、有酸素運動のマシンは曲線美が際立つノルドというブランドからランニングマシンとバイクを導入しました。
日本で取り入れているジムは少ない木製のマシンです。
廃材を出さない製法で、熟練の職人がひとつひとつハンドメイドしているそう。
環境にやさしいコンセプトに惹かれました。
ランニングマシンは機械に支配されない、自分で動かすタイプでより消費カロリーが上がるので、効率的です。
歩行時に下半身の力の入れ具合に左右差が出ると、地面を蹴る力が均等ではなくなり、さらに姿勢が悪い状態だと、バランス良くマシンの上で歩いたり、走ったりができません。
ただ歩くだけ走るだけですが、その差が歴然とあらわれるのが自走式マシンのメリットです。

ーまさに高尾さんのこだわりが詰まったジムですね。ジムでの「アプローチで意識していることはありますか?

はい、仲間と作り上げた、とても思い入れのあるジムです。体力レベルの低い方であれば、徒手療法(直接体に触れる手技)や呼吸、脱力やリラックスを促すアプローチをします。
また、体力レベルの高い方であれば、認識判断行動が伴う実行機能訓練(例:日常生活でつまずきやすい方であれば、脳や目、身体の反射神経などを養うためにランダムで光る複数の手のひらサイズのボタンを目の前に置き、光った瞬間にボタンにタッチしてもらう)やウェイトトレーニング、ストレングス(身体の動きをより良くする、パフォーマンスアップ)などのトレーニングも行います。
そのほかに日常生活の過ごし方についてもご提案しています。
例えば自律神経を測る機械のコンディビューの測定結果の数値が低い場合には、交感神経や副交感神経の機能を高めるための方法として、うがい、冷水を浴びる、お腹を温める、耳栓やアイマスクなどの具体的な提案をお伝えしています。

|「ユウトレ」としてSNSの発信も毎日継続

ー1日の過ごし方を教えてください。

起床後、勉強やSNSのコメント返事&いいねを押しながらチェックします。
その後、10時〜22時でジムのお客様を対象にパーソナルトレーニングを10本程度セッションしています。
その間に空き時間があれば、所属トレーナーの研修、SNS更新、オンラインサロンの資料作成などをして、日によってはオンラインサロンのライブ配信もしています。

— 学習はどのようにされていますか?

主にオンラインではAZCAREとPLAZ+で勉強しています。
身体に関わることのほとんど全てを網羅されていて、そこから気になることを徹底的に
調べています。
内容がどんどんアップデートされていく
ので、とても楽しく学べています。

実際に足を運ぶセミナー関連では、今はA-yoga(リハビリとヨガの要素を組み合わせたもの)の半年コースに通っています。
過去にはフランス発祥のスポーツ「パルクール」、ランニングのパフォーマンスアップを狙うもの、脳・視覚・聴覚などの機能・生理学にまつわるセミナーなどを受講しました。
お客様ひとりひとりのニーズを汲み取るためには多くの知識が必要なため、なるべく多くの分野を追究することを心がけています。

— トレーナーとしての最大の挑戦どう乗り越えられましたか?

ジムのオープン、YouTube動画の更新、オンラインサロンの運営、プロテインの販売など、それらは私にとってすべてが大きな挑戦でしたが、SNSでトレーナー活動を続けることは今も昔も一番大変ですし、使命だと思っています。
乗り越え方は「優先順位を最も高くする」こと。
朝起きて一番初めにすることはなんだろう?と考えた時に、顔を洗ったり食事の用意などの優先順位が高かったですが、まずはSNSを見る・研究する・投稿内容を考えることを徹底しました。
優先順位を高くしたところ、一時期はXを見ている時間が1日で10時間を超えていました。その状態になれば発信をしないことが違和感になるので継続できます。
「ユウトレ」をつけてXで投稿してくださるフォロワーさんに「いいね」を返したり、返事をすることが、モチベーションを高く保ち、波をなくす要因になっています。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

|今後の目指す姿

ー憧れのトレーナー像はありますか?

特定の方はいません。
ただ、運動だけでなくあらゆる分野に精通していて、スペシャリストよりもジェネラリスト、情熱があり日本や世界で社会貢献をされている方、自らを律することができていて、定期的に運動し、怠惰な生活をしていない、日々努力を絶やさないそんな人に憧れます。

ーチャレンジしたいことや目指すべき姿はありますか?

まずは、ずっと続けているオンラインサロンは満足度アップのために進化し続けないといけないと思っていて、来年には骨格姿勢改善ピラティス「ほねピラ」のバージョンアップを予定しています。
それから今年出店したNewAnsの多店舗展開も計画していて、来年オープンに向けて2店舗目の物件を中央区で探しているところです。
目指すべき目標は「日本人全員の健康寿命を100歳まで伸ばすこと」です。
実は、先日母が急逝しました。母は、仕事に邁進し、家事もそつなく行うスーパーウーマンでしたが、その分運動不足とストレスにより、正直ふくよかな体型でした。
運動が苦手で、自分自身に興味がなく、家族にばかり気を遣っていました。
そんな母ですが、病気知らずだったこともあり、私自身がトレーナーとして運動や食事指導をすることはありませんでした。
長生きしてくれるだろう、と理由もなく漠然と思っていました。
ですが、いつか恩返ししよう、という「そのいつか」は来ませんでした。
運動や食事の大切さをしっかり伝えられたら、と何度も後悔しました。
身近な人を守れなかった悔しさ…私以外の方にはそんな想いはして欲しくありません。
SNS、書籍、雑誌など、どのようなことでも私が発信したことがどんどん広がってほしいです。
そして、その情報が良いなと感じた方々が、身近な人や大切な人に伝えていただきたいです。
その繰り返しにより、日本人全員が運動を楽しみ、自分自身の体に関心を持つ方が増えるのではないかと考えています。
そのために私はこれからも365日、毎日健康に関連することを発信し続けます。

ーリアルだけではなく、SNSを中心としたデジタル領域でも精力的に活動をしている高尾さんだからこそ目指せる目標だと感じました。インタビューへご協力いただきありがとうございました。

|プロフィール

高尾 勇斗(たかお ゆうと)(29歳)

パーソナルトレーニングジム運営、オンラインサロン展開、サプリメント入りプロテイン(フィーカプロテイン)をプロデュース・販売。SNSの総フォロワー数、約40万人。(X・YouTube・Instagram)オンラインサロンでは月額1500円のユウトレルーム(ピラティス・ヨガ・ストレッチ・筋トレ・栄養指導のレッスンがそれぞれ毎週受けられる。)と月額7000円の骨格姿勢改善ピラティス「ほねピラ」の2つを主宰し、総会員数1000人を超える。著書6冊。代表作「立ったままできる立ち腹筋」でAmazon総合1位を獲得。日本テレビ、フジテレビ、テレビ東京などに出演。雑誌 日経ヘルス、LDK、オレンジページなどのダイエット特集のトレーニング・エクササイズ監修。健康保険組合連合(けんぽれん)にて健康コラムを掲載。大手パーソナルジムに入社後、入会率・延長率のトップを達成し、フリーランスのトレーナーとしてトレーニングとピラティスを中心に運動指導し2024年4月にはピラティス&パーソナルトレーニングジム NewAns(ニュアンス)西新宿をオープン。


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