今回は、パフォームベタージャパンサミット2024の事前ウェビナーの内容の一部をご紹介いたします。
■開催日:2024年8月1日
■講師:庄村 康平 (ネクストベース・アスリートラボ)
■テーマ:パワー発揮を高めるための段階かつ個別的なトレーニング戦略
1.パワーとは何か
「力」と「パワー」は別物
力とパワーは混同して考えられることがありますが、厳密には全く異なるものです。
定義と違いは以下の通りです。
・筋力(Muscular Force):筋によって発揮された力
・筋力(Muscular Strength):筋力(Muscular Force)によって外的な物体や抵抗に対して行使された力
・筋パワー(Muscular Power):筋力(Muscuar Strength)によって外的な物体や抵抗に対して1秒間にできる仕事量(力×変位)
力学的パワーとは「1秒間にできる仕事量(=仕事率)」を指し、スポーツ現場では、 「パワー(W)=力(N)×速度(m/s)」だとよく耳にすることがあるかと思います。
よく混同される事例として、アイソメトリックがあります。
このように関節角度の動きがない、もしくは速度がない場合には、パワーはどれだけ力を発揮したとしても0になります。
そのため大前提として、力とパワーは分けて考える必要があります。
パワーを解釈する時の注意点
「地面に対して発揮されたパワー」は「筋によって発揮された生理学的なパワー」と同じではありません。
筋がパワーを発揮し、それがさまざまなものを介し地面に加えられているので、地面に対して発揮されたパワーは筋パワーとはイコールではないので注意しましょう。
身体のどこの部位が大きなパワーを発揮しているのか?
例えば、下肢の爆発的な筋力が重要な競技スポーツを行う男性のエリートアスリートを対象とした研究では、高いジャンプをするには股関節のパワー発揮が重要であるという結果が出ています。
そのため股関節の伸展筋力を鍛えるというのが昨今アスリートのトレーニングで重要視されてきています。
パワーの向上はパワートレーニングだけでは不十分
パワーを高めるにはパワートレーニングをやろうとする方もいると思いますが、パワーの変数の力(N)と速度(m/s)関係の全域において向上させるためにはパワートレーニングだけ行えば良いわけではないというのが研究結果からも出ています。
高負荷・低速度のストレングストレーニング、 低負荷・高速度のパワートレーニングなどで力と速度の変数をしっかり鍛えることで力(N)と速度(m/s)関係の全域におけるパワー発揮を高めることができます。
このように適切に組み合わせられると段階的にパワーを向上することができます。
2.最大筋力を向上するためのトレーニング戦略
最大筋力の向上には多くの要因が関与しているものの、主に形態学的適応(筋肥大)と神経学的適応(相対的に筋力を高める)に分類されます。
形態的要因(筋肥大)
長期的に筋力を向上させるには、筋のボリュームを増大させること(=筋肥大)が重要です。
よく筋肉で体重が重くなるとスピードが落ちてしまうと感じるアスリートもいますが、陸上の100m走を見ると決勝に出てくる選手は筋肥大されていることがわかります。
神経学的要因(相対的に筋力を高める)
相対筋力を高めるには、高負荷・高重量を使ったトレーニングが求められます。
高負荷のトレーニングを行うことによって筋間コーディネーションや筋内コーディネーションに適応が起きます。
競技中に高重量を持ってプレーすることはありませんが、最大筋力をトレーニングするべきです。
競技中に重いものを持たないから高重量のトレーニングをしないのではなくて、重いものを持たなくても自分の身体を爆発的に動かすために高重量のトレーニングが必要だということです。
今回は、10月18日(金)〜20日(日)に行われるパフォームベジャパンサミット2024でも講師を務めていただく庄村 康平さんのご講演内容の一部をご紹介いただきました。
サミットでは講義に加え、実技の時間もございます。
より深掘りした内容が気になる方はぜひお申し込みください。
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「1人でも多くのアスリートを笑顔にするために」をコンセプトに掲げ、トレーニング指導に関わる全ての方々が、原理原則から現場で活かせる方法までを学習できるコンテンツを発信しています。
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